3月のある日。
私は、都内で用事を済ませ、約2ヶ月ぶりに、銀座4丁目のソニーギャラリーに立ち寄った。
今回は、国際的アワード受賞者の最近の作品を集めた展示会で、その作品は、どれも、さすが!と思わせるものであった。
しかし、私は、ここで、2ヶ月前に見た「取るに足らない雲の力学」の展示を思い出していた。
それは、気鋭の写真家・田凱氏の展示であったが、取るに足らない作品ではなく、深い洞察のある作品で、私に気付きを与えてくれたのだ。
以下、2025/03/01「とるに足らない雲の力学」より。
私は、三越を出て、銀座駅の地下道を歩いた。
和光ビルの地下の出入口にショーウィンドウがあり、色鮮やかな赤いドレスが飾られていた。
これが、ひときわ、私の目をひいた。
確かに、紺や白のドレスよりも、赤いドレスの方が、女は目立つ。
銀座の待ち合わせでも、人込みの中で、男にすぐ見つけてもらえる。
それにしても、私は、先ほどから、赤いものばかり見かけるが、最近の銀座のテーマカラーは、赤なのだろうか。
その後、私は、スターバックスへ。
あえて、パッションティーを頼んだ。
テーブル席に座り、鮮やかな赤のパッションティーを飲むと、私は、「赤」=「情熱」=「パッション」ということを思った。
私は彼女を捕まえない。
私は、いつも、アートに学ばせられる。
私は、受け身でいることにした。
田凱氏の詩によれば、「それは探し求めるものではなく、 ある瞬間、不意に訪れるもの」だという。
そして、「私はイメージを捕まえない。イメージが私を選ぶのだ」とある。
さらに詩はこう続く。
「都市の喧騒の中で、その手は触れない。むしろ、カメラがそっと撫でるように、 世界を映し取る」「すべては自然に、あちら側からこちらへと、私の内に降り立つ」
さて、3月が終わり、新年度の4月になった。
4月6日。
私は、ママ殿と一緒に、近所の牛久シャトーに夜桜見物に行った。
牛久シャトーは、以前、このブログで紹介したことのある、ワイン醸造所のある公園で、日本遺産にも指定されている名所だ。
毎年桜の季節になると、夜遅くまで開館し、イルミネーションに照らされた公園内の桜の花がきれいである。
ただ、私もママ殿も、夜桜を見るのは初めてだった。
「夜桜、初めて見ましたが、正直いうと、まあまあですね」
「そうね。この年になると目が悪くて、夜桜だと見にくいわね。次は昼間がいいわ」
「ママ殿、冷え込んできました。もう帰りましょうか」
「ちょっと待って。トイレにいってくる」
「じゃあ、その辺を歩いてます」
「遠くに行かないでね」
「大丈夫です。さっき、位置情報アプリを入れたでしょう。見つからなかったら、それ見てください」
「アプリの使い方が・・・よく分からないのよ。家に帰ったら、また教えてくれる?」
私たちは、夜の園内で、はぐれたりしないよう、各自のスマホに、「ともどこ」という位置情報アプリをインストールしておいたのだ。
帰宅後、私はママ殿に、「ともどこ」の説明をした。
「いいですか。もう1回、説明します。このアイコンを押す「だけ」なんです。そうすると、アプリが起動して、ママ殿の現在位置が、表示されます」
「なるほど。私は、いま、家にいるのね」
「そうです。さらに、私の現在位置も、同じ場所に、アイコンが重なって表示されていますよね?」
「これが、あなたのアイコンね」
「そうです。友達登録をしておけば、お互いの居場所が分かるんです」
「待ち合わせとか、街で、誰かと会いたいときは便利よね」
「そうですね。でも、実は、街で、誰かと会いたくないときも便利です」
「どういうこと?」
「これは、私の単なる思い付きですが、あえて、大嫌いな相手を登録しておきます。そうすれば、同じ町で、大嫌いな相手と遭遇しなくて済みますよね」
「そういう使い方も面白いわね。でも、具体的に、誰を登録するの?」
「そうですねえ、、、(*'ω'*) 例えば、離婚した後の夫婦です。お互い二度と顔も見たくないでしょう。でも、別れた夫に子供の養育費を支払ってもらう約束がある、別れた妻と同居する子供のことが気になるなら、居場所が分かるのは、お互い、メリットもあります」
「なるほど」
「まあ、それはともかく、私たちの使い方ですが、例えば、明日ママ殿が、ママチャリで、買い物に行ったとします」
「明日は買い物にいきませんよ」
「じゃあ、あさって、買い物に行ったとして・・・でも、なかなか帰らないので、私は心配になります。そのとき、無事かどうか、これですぐ確かめられます」
「あら、どうしましょう!」
「どうかしました?」
「右のボタン、押したら、画面がヘンになっちゃった・・・」
「見せてください。ん~と、これは、何だろう、新機能かな」(*'ω'*)??
「ともどこ」には、あいまいだが、自分の居場所を公開できる機能が付いているようだ。
これを使えば、近くにいる見知らぬ人が、自分を簡単に探し出せるようになるということだ。
何やら、これは、面白そうな機能だゾ(*'ω'*)!
これまで、オンラインで見知らぬ人と友達になりたい、親しくなりたいという場合には、めんどうくさいチャットなどのやりとりを繰り返す必要があった。
しかし、これだと、どうだろう。
最初、かなりの部分を相手任せにできて、合理的効率的にいきそうではないか。
もちろん、危険人物が、自分に目星を付けることもあり得るが、日本は世界の中でも治安がいいので、神経質になってもしょうがない。
数日後。
私は、日本橋高島屋にいた。
買い物を済ませると、こないだ鰻を買った「美國屋」の前を通りかかった。
店先のタライの中に、本日の鰻(生存中)のサンプルが泳いでいるのだ。
私は、通りかかるたび、気になって、覗いてしまう。
こないだと同じ愛知県産だった。
私は、タライを軽く叩いてみた。
が、この鰻、どっしり構えており、まったく反応はなかった。
今日は、寝ているのかな(*'ω'*)?
私は、高島屋の敷地を出ると、大通りを歩き、交差点の向こう側のコレド日本橋へ。
私は、普段、外ではスープやカレーを食べないが、久しぶりに食べたくなり、地下のスープストック東京に入った。
スープ2個セットを選び、オマール海老のスープと、ボルシチを頼んだ。
私は、スープを飲みながら、スマホをいじった。
「ともどこ」を起動すると、アイコンをタップして、発見へようこそ!の画面へ。
発見機能への登録は、簡単にできそうだ。
帰宅後、登録画面を確認すると、、、
(性別は男)
(肩書はエッセイスト)
(興味は・・・物書き、犬好き、アート、料理~)
(今、求めるものは・・・)