2024/06/29

蝶々夫人(2)くれぐれも安易に「結婚してほしい」などと相手に申し込んで、やりっぱなしにしておかないことだ

2024年も、あっという間に半年が過ぎようとしている。
もうすぐ7月だ。

こないだ申し上げたとおり、ありがたいことに、今年も執筆の依頼をいただいている。

もちろん、原稿には締切がある。
現在の私は、締切に向けて、コツコツ原稿を書き進めているところである。
が、他の仕事も抱えており、これまでの私と比較して、明らかに、、、仕事を詰め込み過ぎている。

もっとも、毎日書斎でパソコンと向き合っているわけではない。
原稿を書くときは、何度か推敲をするが、書斎でパソコンだと捗らないことも・・・そこで、気分転換に外出して、喫茶店などでスマホ片手に推敲をする。
最近は、アトレ取手のスターバックスで書くことも多いが、柏高島屋のスターバックス、あるいは、カフェドクリエにもよく行く。


(アトレ取手スターバックス)


(柏高島屋スターバックス)


ある日の昼下がり。
私はスターバックスのダークモカチップを飲みながら、手帳を見ていた。
こないだ書き込んだ蝶々夫人の雑感がメモってある。

蝶々夫人をトゥーランドットと比べると、なかなか面白い。
トゥーランドットは賢明で疑り深かった。
あらゆる事情を洞察し、意中の相手でも、殺して追い払ってしまった。
しかし、女王の権力や圧力に屈さず、殺されなかった男なら、女王の戦略的パートナーとしてふさわしいので、結婚をOKするということであった。

これに対し、蝶々は正直で純粋すぎた。
直ちに意中の男を受け入れた。
その後は、意中の相手を、ただ信じて待った。

ある時、自分の人生に劇的変化をもたらすような意中の相手が出現することがある。
このとき、早い者勝ちが理屈で、すぐにOKしたくなる。
だが、賢明な女性は、我慢する、いったん遠ざける、返事を保留する。
素晴らしい恋愛には、障害が必要で、意中の相手なら即答することで障害がないので、返事を保留して障害を作り出すということだ。
保留後のやりとりや、障害を乗り越えるプロセスで、相手の愛や真剣さを見極めることができる。

もっとも、蝶々の場合、彼女の置かれた当時の状況を考えると女王のようにふるまうのは無理な話だ。
しかし、もし彼女が他の名誉ある仕事をしていたらどうか、あるいは、自分のやりたいことを仕事にしていれば?
彼女は、我慢する、いったん遠ざける、返事を保留するというのは、わりと簡単なことであったと思う。

以上は、2024/06/24「離れ離れになって3年だが、心変わりは一切ない」より。




男の立場から、この問題を考えてみる。

賢明な女性が、我慢する、いったん遠ざける、返事を保留するという対応をした場合、男性は、フラれたと思い、とっくに諦めている。
あるいは、ほとんど忘れていたり、興味の対象が別の女性に向いている。

しかし、彼女的には保留をしているわけだから、その後、安全な場所からこっそり様子をうかがっていたりして・・・ある時、タイミングを見はからい、男性の前に、突然、現れたりするかもしれない。
このとき、もし彼女がトウーランドットだったら、男性は殺されるかもしれないが、もし彼女が蝶々のように正直で純粋だったら?

だから、くれぐれも安易に・・・ピンカートンのように「結婚してほしい」などと、蝶々のような相手に申し込んだりしないことだ。




唐突だが、ここからは、法律の話をする。
ご存知のとおり、私は終活講座の先生でもあるが、今回は相続や認知症対策に関する法律の話ではない。
契約法一般の話である。

まず、契約を端的に言うと、誰かと誰かが約束をすることである。
「契約」=「申込」+「承諾」により成立する。

契約書があれば確実な証拠だが、原則として口約束だけでも成立する。

例えば、AさんがBさんに何か申込みをし、BさんがAさんに対して、承諾(イエスの返事)をすると、契約が成立する。
すると、AさんもBさんも契約というものに拘束され、相互に権利義務が発生する。
要するに、約束をしたら、お互い、約束を守らなくてはいけないということを、難しく言っているだけなのであるが。

もっとも、契約が成立するまで、申込の撤回ができる。
Bさんの承諾前に、Aさんが申込を撤回すれば、この話はなかったことにできる。
また、時間が経過してもBさんの承諾がない場合は、Aさんの申込みはなかったという扱いにされることがある。
例えば、お昼に出前を頼んだが、夜になっても店から返事すらない場合である。
状況が変化したら、そのことも考慮されて申込はなかったことになる場合がある。
例えば、新車◯◯を買いたいと申込んだが、自動車販売店が対応せず、後日、その客が別の販売店で車を購入した場合である。

いずれも、店の承諾がきちんとしていなかったわけだが、あとになって承諾されても、申し込んだ側は困ってしまう。






さて。
結婚は、身分上の「契約」のひとつである。
婚約とは結婚の約束で、結婚契約である。
しかし、「蝶々夫人」に出てきたように、結婚はあなただけ、終生を共にする、永遠の愛の誓いなのである。
これは非常に特殊で、強い約束である。
単なる買い物と違い、人生の選択そのものであり、重大だ。

とすると、一度申し込んで相手からの返事がない場合、通常の契約と違い、当分の間、返事待ちの状態(保留)と考えてもよさそうである。
まあ、これは、私の独断と偏見に基づく見解のようだが・・・要するに、申込をしたら、そう簡単に撤回できないということであり、申し込まれたままの相手は、いつでも承諾して結婚が成立する、といいたいのである。

例えば、AさんがBさんに結婚の申込をし、Bさんが返事をしないで時間が経過している場合を考えてみると?
↓↓
Bさんはいつでもイエスのメールを一本、Aさんに送れば、結婚の契約が成立すると考えられる。
これにより、AさんはBさんと結婚しなくてはならないことになる。
だから、くれぐれも安易に「結婚してほしい」などと、蝶々のような相手に申し込んで、やりっぱなしにしておかないことだ。

では、もしBさんに結婚を申し込んだAさんに、新恋人Cさんができたら?
↓↓
AさんがBさんのことを忘れ、Cさんのことを本当に好きになった。
さあ、これからというとき、突然メールでBさんから結婚OKの返事が来たとする。
これはまさに、ドラマのような三角関数になるが、新恋人のCさんとまだ婚約していないなら、AさんはCさんではなく、Bさんと結婚する義務と責任が、プロポーズした以上は、あると考えられそうだ。
なお、すでに付き合っているときのプロポーズで、その後、2人が別れてしまった場合は、合意解除が成立したと考えられるので、結婚の話は全てなかったことになるものと考える。
そうでなければ、破局した相手なのに結婚を強制されるという不合理な事態となってしまい、妥当ではない。

Cさんと付き合い、婚約に至ったとして、その後、Bさんから承諾があったときは?
↓↓
先ほどの理屈そのままだと、重婚を禁止する民法のルールに反することになりかねないので、どちらか1人を選び、選ばなかった方には平謝りし、許してもらうしかないだろう。
しかし、通常なら、あとから知り合ったCさんが「私に隠し事をしていたのね!」と激怒し、去るのではないか。
なので、Aさんは、今さら感(?)があっても、Cさんではなく、Bさんと結ばれること(ハメ?)になるだろう。
だから、繰り返すが、くれぐれも安易に「結婚してほしい」などと、蝶々みたいな相手に申し込んで、やりっぱなしにしておかないことだ。




私はダークモカチップを飲み終え、再び手帳を開いた。
メモ欄には、上記ソニーギャラリーの展示会「Don't Trust Pretty Girls」の雑感が書いてある。
最後は、これを再読して終わろう。

「Don't Trust Pretty Girls」について。
この作品のタイトルは「美人を信用するな」である。
連作の後半で、女性が狙いを定める写真と、結婚式の写真があった。
私は、結婚というのは女性が決めることで、女性が加害者、男性が被害者で、標的の男性がハートを撃ち抜かれて、被害を受けた結果である、というような意味合いだと思った。
結婚式の写真は、何となく、お葬式のようでもある。
「結婚とは人生の墓場」という言葉を思い出す(マンガ「逃げるは恥だが役に立つ」で読んだ)。

メスのジャガーと女豹について。
メスのジャガーは女豹のことではないかと思ったが、Google検索で調べると、そうではない。
厳密には違う。
ただ、そうはいっても、ジャガーは、豹と、かなり似ていると思う。
だいたい私たちは、ダックスフントも、チワワも、土佐犬も「犬」と呼んでいる。
それなら、ジャガーと豹は同じ扱いでよいのでは?

ネパールの田舎の結婚式の車のパレードの写真について。
新郎が手を振っているが、その手が不自然に硬直している点が気になった。
顔を出さないのではなく、出せないのでは?
車内で新婦(女豹)に襲われている。。。

2024/06/24

蝶々夫人(1)離れ離れになって3年だが、心変わりは一切ない

東劇でMETのオペラを2本見てきたのは、9月のことだ。
そのうちの1本は、定番中の定番、プッチーニの「トゥーランドット(Turandot)」である。

プリンセス・トゥーランドットは中国の紫禁城で父親とともに暮らす絶世の美女で、常に他国の貴族や王子などから言い寄られている。
ただ、強烈な男嫌いで、全ての男たちを拒絶している。

トゥーランドットは求婚されるとその男を殺してしまう!

拒絶にも限度があると思うが、残忍で冷酷な中国のプリンセスということで、業界有名人(?)となっている。

彼女は求婚者に3つの謎かけをする。
全問正解なら結婚すると約束をするが、難問なのでどうせ解けないのだ。
これまで挑戦者の男たちは全員処刑され、城下町の道ばたにその生首が吊るされている。
今回は、戦争に敗れ放浪中のカラフ王子がトゥーランドットにひとめぼれをし、3つの謎かけに挑む。

そんなストーリーである。

以上は、2023/10/18「トゥーランドットは求婚されるとその男を殺してしまう!」より。




先日。
私は銀座の東劇で、METライブビューイングオペラ「蝶々夫人(Madama Butterfly)」を見てきた。
こちらもプッチーニオペラの代表作である。

蝶々夫人は、カルメンと同じくらい、単純な話である。

第1幕。
舞台は明治維新後の長崎。
ゲイシャの名前は蝶々といって、15才の美少女だが、実は、ハラキリをして名誉の死を遂げたサムライを父に持つ、武家の令嬢である。
父の死で家が没落し、名誉を捨て、売春宿で体を売って生きている。

ある日、長崎に赴任してきた米国海軍士官ピンカートンが、美しすぎる蝶々に一目惚れをする。
彼は、(日本人には莫大な金だが)わずか100円で身請けをし、形ばかりの盛大な結婚式を挙げる。
そして、(米国の特権で)99年契約で借り上げた高台の豪邸に彼女を囲った。

これが悲劇のはじまり。






第2幕。
蝶々は、高台の豪邸に住み、ピンカートンの妻となっている。
しかし、これは形だけの結婚契約である。
当時長崎ではこのような結婚契約が、普通にあったという。

「当時の長崎では、洋妾(ラシャメン)として、日本に駐在する外国人の軍人や商人と婚姻し、現地妻となった女性が多く存在していた。また19世紀初めに出島に駐在したドイツ人医師のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトにも、日本人妻がいた。下級の軍人が揚屋などの売春宿などに通って欲望を発散する一方、金銭的に余裕がある高級将校などは居宅に女性と暮らしていた。この際の婚姻届は、鎖国から開国にいたる混乱期の日本で、長崎居留の外国人と日本人女性との同居による問題発生を管理したい長崎奉行が公認しており、飽くまでも一時的なものだった。相手の女性も農家から長崎の外国人居留地に出稼ぎに来ていた娘であり、生活のために洋妾になったのである。互いに割り切った関係であり、この物語のように外国人男性との関係が真実の恋愛であった例は稀である」




ピンカートンは、蝶々に情熱的にアタックし、プロポーズをし、永遠の愛を誓い、結婚式まで挙げた。
しかし、祖国アメリカにはフィアンセがいて、帰国後は彼女と結婚し、蝶々のことは忘れている。

かたや、蝶々は、彼を終生の夫と信じ込んでいる。
自身の家と宗教を捨て、キリスト教に改宗したため、親族からは絶縁されている。
貯金はあと僅かとなり、下女のスズキは狼狽している。
だが、彼女は売春の道に戻るつもりはなく、ただ、家にじっとして、彼の帰りを待っている。

ここで、蝶々夫人は、有名なアリア「ある晴れた日に」を歌う。
離れ離れになって3年だが、心変わりは一切ない。




ある日、領事のシャープレスが訪ねて来る。
ピンカートンが祖国で結婚したことを彼は知っているが、蝶々を目の前にすると、良心の呵責から真実を切り出せない。
2人の結婚を取り持った公証人のゴローも、蝶々夫人の世話をする下女のスズキも、ピンカートンの愛を信じる蝶々夫人にかける言葉がない。
その後、ヤマドリ公爵というバツイチの富豪が現れ、蝶々夫人にプロポーズを繰り返すが、蝶々夫人は断固拒絶する。

実は、蝶々夫人は、ピンカートンそっくりの息子を育てているのだが、その後、妻と一緒に帰国したピンカートンにその息子を取り上げられてしまう。
母としての生きがいをも奪われた彼女は、かつての父と同じく、自ら名誉の死を選ぶ。

これが悲劇の結末。




オペラが終わったのは夕方5時。
外はまだ明るい。
劇場の前の赤信号の交差点で立ち止まり、どこかに寄り道しよう、と思った。

私は、東劇~銀座三越の交差点~松屋方面~京橋と歩いた。
いくつかのギャラリーを巡ったが、ポーラミュージアム銀座では、オペラに関する写真展「OPERA DE PARIS」をしていて、タイムリーで非常に良かった。








ポーラのビルを出た後、私は、京橋駅の向かいのブリリアアートギャラリーに入った。
黒田征太郎さんの個展「悲の器、水と光」が開催されており、初日で画家本人が在廊していた。

おや、部屋の奥で、壁に向かって、ライブペインティングをしている人がいる。
あの人が、黒田さんなのだろうか?




黒田さんの足元はおぼつかず、絵筆を持つ手が震えている。
壁画に描かれた太い線は、グダグダになっている。
キャプションを見ると、米軍のB29による空襲の体験談が書かれていたので、黒田さんは戦前の生まれで、80才以上だ。

そういえば、壁に絵を描くのは、体力がいる、しんどい、ということを、3年ほど前に日本橋のアートホテルで大きな壁画を描いた女性画家と話したときに聞いたことがある。
しかし、黒田さんの展示作品を見ていくと、どの作品も描きっぷりが似ていて、どうもこれは彼の作品のスタイルのようである。






以下は、帰宅後に手帳のメモに書いた蝶々夫人の雑感である。

蝶々夫人をトゥーランドットと比べると、なかなか面白い。
トゥーランドットは賢明で疑り深かった。
あらゆる事情を洞察し、意中の相手でも、殺して追い払ってしまった。
しかし、女王の権力や圧力に屈さず、殺されなかった男なら、女王の戦略的パートナーとしてふさわしいので、結婚をOKするということであった。

これに対し、蝶々は正直で純粋すぎた。
直ちに意中の男を受け入れた。
その後は、意中の相手を、ただ信じて待った。

ある時、自分の人生に劇的変化をもたらすような意中の相手が出現することがある。
このとき、早い者勝ちが理屈で、すぐにOKしたくなる。
だが、賢明な女性は、我慢する、いったん遠ざける、返事を保留する。
素晴らしい恋愛には、障害が必要で、意中の相手なら即答することで障害がないので、返事を保留して障害を作り出すということだ。
保留後のやりとりや、障害を乗り越えるプロセスで、相手の愛や真剣さを見極めることができる。

もっとも、蝶々の場合、彼女の置かれた当時の状況を考えると、女王のようにふるまうのは無理な話だ。
しかし、もし彼女が他の名誉ある仕事をしていたらどうか、あるいは、自分のやりたいことを仕事にしていれば?
彼女は、我慢する、いったん遠ざける、返事を保留するというのは、わりと簡単なことであったと思う。

2024/06/22

ギャラリーフロレゾン跡地再訪










宝町駅前。

ここは最近まで小さな画廊だったが、新しくラーメン屋ができた。

ラーメン「ゆかり」。


店主はとても素敵な女性だ。

果たして彼女の名前は、ゆかりさんなのかしら(*'ω'*)


夕方だったので、狭い店内にふたりきり。


食べながら、私は汗だくになった。。。

2024/06/20

女の世界

こないだ何となく、自分の本の名前をGoogle検索してみたら、自分の肩書が「作家」になっていた。

ムムム、、、私、作家なの?(*'ω'*)

こりゃ、驚いた。
記念に、スクリーンショットしておこう!







去年出したのはビジネス書1冊である。
それで作家というのは、チョット違う気もする。

いや、待てよ(*'ω'*)
芸大卒の、あの売れない画家も、画家と名乗っているのだから、別にいいのか。
画家や作家に資格はいらないのだし。
要するに、肩書というのは、世の中、名乗ったモン勝ち、ということも大いにあるのだ。

では早速。。。
パワーポイントで、作家の名刺をデザインしてみた。
あとで、激安のラクスルで発注するか。







翌日。
私は、用事があって、世田谷の昭和女子大学に行った。
用事を済ませた後は、昼食がまだなので、学内で食事のできるところを探した。
しかし、学食のメインの場所はすでに閉店しており、トイレ付近の自動販売機の列を見ると、そこにはインスタント食品くらいしか売っていなかった。

昭和女子大は、女の世界なので、ボリュームがあって野暮ったい定食屋のような食事は、置いていないようだ。

お腹が空いているのに、どうするか。。。

とりあえず、別の建物のカフェで、カシスオレンジとドーナツを頼んだ。
が、このドーナツ、男には、小さすぎる。。。




テラス席で、ドーナツをつまみながら、スマホを見ていると、うしろに、おしゃれをした年配の女性のグループが座った。
話を聞いていると、これから隣の建物で、「第16回昭和女子大学女性文化研究賞授賞式」があるらしい。
彼女たちは、その授賞式に出るため集まった同期生のようだ。

記念講演もあるのか・・・きっと、坂東眞理子総長の講演かな?
聴きたい!!(*'ω'*)

私は、カフェを出て、隣の建物を見に行った。
問い合わせると研究員の私も出席できるというので、出席することにした。
ということで、作家(?)の私は、タイミングよく、昭和女子大で書籍のイベントに出ることになった。






授賞式の会場。
ここもまた、女の世界、、、男はほとんどいなかった。

「坂東眞理子基金」というのは何だろう?(*'ω'*)キニナル
坂東先生は、著書を合計460万部売った印税長者だ。
この賞は、坂東先生が設立されたのだろうか?

表彰式が始まった。
坂東先生は、祝辞を述べただけで、その後の講演は、受賞者の落合恵美子先生によるものだった。
私は、現代ビジネス研究所の方なので、よく知らないのだが、、、落合先生の記念講演の内容は、あまり聞かない新鮮なネタで、なかなか面白かった。
私のようなテキトーな者の要約はいかがなものか、ということはあると思うが、簡単にいうと、こういう話だった。

女は結婚後、主婦になるが、そもそも現在の主婦というのは、近代(明治以後)になってできた女の役割である。
つまり、現在の典型的な家庭のカタチは、最近にできたもの、ということである。
 
家庭内での主婦の子育てや家事は「労働」である。
しかしこれは、家庭という閉じられた世界の労働で、外から評価できるかというと難しく、社会的に正当に評価されていない。

実は、明治維新以前、日本社会は男女平等に近かった。
江戸時代、女もふつうに働いていたわけだし、女は結婚すれば主婦になるという考えも、基本的に、なかった。
しかし、明治維新後は、男尊女卑社会となり、急速に変わっていった。
女は結婚後、良き妻、良き母となるべし、というのだが、これは欧米から輸入した産業革命後の新しい価値観で、日本の古き良き伝統と決め付けるのは間違いだ。

このような性別分業を肯定する保守的な考えの者は男性に多く、フェミニズムの敵である。
彼らによって、女は不当に不自由を強いられている。
(とても、けしからん!というかんじであった)

家政婦は日本では少ないが、これだけの経済大国なのに、実に不思議なことだ。
子供を育てるのは女である、母親である、女がそれをしなさい、という日本社会の異常なプレッシャーや思い込みがある。
日本の保守派は、この思い込みを伝統だと言い張り、女を家に閉じ込める仕組みを保持したいのだ。
そうして、女を社会に出さないように、活躍できないようにしているのだ。
しかし、繰り返すが、女は結婚後、良き妻、良き母となるべきであるという考えは、最近欧米から輸入した新しいもので、日本の古き良き伝統と決め付けるのは間違いだ。

3号被保険者制度(いわゆる108万とか106万とか「年収の壁」といわれるもので、これ以下なら社保不要、これ以上なら社保必要となる基準を定める)が、80年代、中曽根政権の時代に制定された。
これは、女に子育てと家事をさせるための専業主婦優遇策で、この制度がバブル後も維持されたため、女は長い間、社会進出を阻まれることになってしまった。

ちなみに。
「坂東眞理子先生は、当時、中曽根政権の3号被保険者制度に反対されたのです」と、落合先生は講演の最後の方で、おっしゃった。
落合先生にそう言われ、前列にいた坂東先生は、控えめに微笑んだ。

坂東先生は、さすがだ!
先見の明がある。




授賞式後の祝賀会。
書籍のイベントなので、出版社の人が多く来ており、私は、何人かの女性編集者と知り合った。
また、フェミニストで文芸評論家の尾形明子先生とも知り合った。
私は、たまたまカバンに入っていた終活本を尾形先生に差し上げたのだが、とても喜んでくれて、お礼に著書を送るといわれた。

数日後。
郵便ポストをあけると、尾形先生の本が届いていた。
2023年にリリースされた「女の世界・大正という時代」(藤原書店)、何やら、装丁の立派な本である。






本のタイトル「女の世界」とは、大正時代に創刊されたゴシップ系の女性雑誌である。
どのような雑誌かというと、いまの女性週刊誌・・・に、わりと近いと思われる。

「1915(大正4)年から21年まで6年間、大正まっただ中に発行された、ユニークな女性雑誌があった。『女の世界』と名付けられたその雑誌は、天下国家を論じる総合雑誌でも、女性の啓蒙を意図した教養雑誌でもない。「男でも読む」「毛色の変った」女性誌として出発し、それを最後まで貫いた。編集方針は自由奔放、何物にもとらわれないアナーキーなゴッタ煮。高度成長期の一時期の週刊誌のような猥雑さ、と思えば、真正面から教育、文化、文学と向かい合って徹底的に論ずる。肩ひじ張らない自由な姿勢で、社会的問題ばかりか、政治、経済、思想、文化、文学に向き合いながら大衆性を獲得していた。堺利彦の「新聞三面記事評論」、松崎天民の探訪記、島村抱月と松井須磨子の恋愛、岩野泡鳴と清子の離婚問題。大杉栄、神近市子、伊藤野枝の三人の手記の独占掲載など、歴史的記録といえる。(本文より)」

以下は、喫茶店で読んだとき、手帳に書き残した「女の世界」の雑感だが、本の内容とは直接関係がない。

文学や芸術の世界で生きるのは、とにかく、タイヘンである。
昔は貧しかったので、文学や芸術の世界で生きるというのは、孤独で、末路あわれな人生だった。
しかし、いまは豊かな時代で、仕事をしながら、あるいは家庭を持ちながら、文学や芸術に関われるようになった。
これは副業ということだが、、、本業にしたい、専業にしたいと思うのは分かるが、副業でできるなら恵まれているということではないか。
例えば、坂東眞理子先生の合計460万部というのは、普通に考えて不可能な数字だ。
しかし、坂東先生も、作家で昭和女子大学総長(もとはキャリア官僚)だから、ずっと副業作家なのである。

ということで、私は、作家の名刺を発注しないことに決めた。
まあ、いまどき、作家というのも流行らないと思うのである。
おっと、、、名刺のお金は決済したので、別の肩書(?)の名刺を発注しておこう。

では最後に。
以前、ブログ記事に書いたことを、また、ここに書いておく。

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■新規事業??
アーティストのためのコンサル??
適宜スポットでのサポート、あるいは継続的なサポート??
ただ、やり方がよく分からないので、実験台を探しています。。。
そこのアナタ(・・;)!!!
お問い合わせはメールで受付中、お気軽にどうぞ!⇒inquiry@efandc.com
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また、アーティストご本人のみ、お問い合わせ可能です。
今後は、会社ウェブサイトにて告知等を行う予定です。
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2024/06/18

東証の近所のビルの地下の「小楠国」に潜入。。。









5~6月は総会のシーズン。

先週、日本テクニカルアナリスト協会の定時総会があった。


その後の懇親会。

東証の近所のビルの地下の「小楠国」に潜入。。。


こ、これが、ガチ中華?(*'ω'*)

エビチリも麻婆豆腐もspicy!

饅頭に豆板醤!


ビールはサッポロ黒ラベル(*'ω'*)ウマイ!

2024/06/16

屋台のチョコバナナ







鳥越神社というと、去年浅草橋に来たとき寄り道した小さな神社だ。

あの時は静寂そのものだったが、先週リンネバー主催の鳥越祭ツアーに参加したら、お祭り騒ぎで、人々の熱狂に包まれていて驚いた。


ちなみに、Yさんと食べた屋台のチョコバナナがとても美味しかった(*'ω'*)♪

2024/06/15

これは、夏バテ防止にとても良いのではないか






ABCクッキングのエスニック料理。


和食やフレンチと比べ雑然としており、味付けは甘口で、屋台料理のようだ。

実際自分の手で作ってみて、思ったより手間がかかる、具材が豊富で栄養たっぷり。。。

これは、夏バテ防止にとても良いのではないか。

2024/06/14

絵画の起源とされるエピソード



(樋口一葉の小説) 「花ごもり」のあらすじは、上記のようなものである。

親のいないおしんは、いとこの家(母子家庭)に居候をしている。
そのいとことは両想いである。
しかし、立身出世のため、彼は良家のお嬢様との縁談を受け入れる。

おしんは、この家にいられなくなり、家を出る。
そして、奉公先・・・いまで言うと住み込みのバイト先で、画家夫婦から絵の手ほどきを受ける。
その後、彼女が職業画家になったのかはよく分からないが、彼女は恋しくなったとき、カンヴァスに彼の姿を描くという。

私は、「花ごもり」のあらすじを読んで、しばらく考え込んだ。
ええと、、、確か、最近見た展示会で、似たような話があったな。
私は、資生堂ギャラリーの展示会を思い出した。
(2024/06/08「1024アートホテル行(1)BNAWallアートホテルイン東京」)
 



3月のある日。
私は、久しぶりに、銀座の資生堂ギャラリーをのぞいていた。
今回は岩崎宏俊さんの個展であった。
案内板には、林田真季、野村在、岩崎宏俊・・・3人のアーティストの名前があったので、3人のコラボあるいはシリーズのようだった。

私は、薄暗い地下へ続く階段をおり、受付の前を通り抜け、薄暗い展示スペースに出た。
すると、そこには、ノスタルジックなドローイング作品が展示されていた。






展示スペースを歩きまわった後、私は、白い長椅子に座った。
ここは観客席、目の前の白い壁に字幕付きのショートムービーが流れている。

私は最初、興味がなく、下を向き、スマホをいじっていた。
が、最後の方で、ハッとしてスクリーンを見た。


(ブタデスの娘は、離ればなれになってしまう恋人の影の輪郭をなぞり残したという~)


(絵画の起源とされるこのエピソードを~)


(彼は”追憶のドローイング”と呼ぶ)




私は、このあたりのくだりが、アーティストとアートのことを、うまく説明していると思った。
その後、もう一度この物語を見直したが、過去を現在にする、これも重要なキーワードだ。

おや、もうそろそろ、出なければ。

私は、資生堂ギャラリーから外に出て、エクセルシオールカフェに入った。
抹茶ラテを持って、2階に上がると、窓際のカウンター席に座った。




窓の外を眺め、抹茶ラテを飲んでいると、付近のテーブル席の男女の会話や、カウンター席の電話の声が聞こえてきた。
別れ話をする中年男女もいれば、これからデートの約束をする若い男女もいる。
あそこのテーブル席の男女4人のグループの会話は面白い。
水商売の女のグラビア出演(?)の条件交渉をしているようだ。
カウンター席では、羽振りのイイ紳士が、都内の不動産の売買価格を電話で話している。

私は、欲にまみれた銀座の人たちのさまざまな会話を、おもしろおかしく聞いた。
その後、手帳を開き、メモ欄に先ほどの展示会の雑感を書きはじめた。

画家が絵を描くきっかけは、恋人との別れ?
その追憶に基づき、絵が描かれる。
作家が物語を書く動機も、同じく、恋人との別れではないか。
その追憶に基づき、物語が書かれるのだ。
こないだ見たMETオペラ「ロミオとジュリエット」も・・・何だか、どれも閉じた世界の話で、悩んでいるなあ、と思った。

さあ、そろそろ出よう。

これから、向かいのビルの東京三田倶楽部(慶應OBの会員制サロン)に行く用事がある。
本日のイベント(例会)に誘われたので、参加するためだが、そのさい、ここの会員で企画担当のOさんから、私は相続セミナーの講師を依頼された。






私の相続セミナー(相続勉強会)は、5月31日に開催された。

■講演概要
1.終活とはどのようなものか
2.遺言書とエンディングノートの重要性
3.認知症の準備と対策
4.デジタル終活をしてみよう

最近、話すことの多いデジタル終活だが、これをメインテーマにして簡潔にまとめた。
大先輩たちを相手に話すのは、大変緊張したが、、、次回は、講師としてではなく、誰かと気軽に遊びにいきたいものだ。