2020/06/30

David Atkinson's argument is correct?

ABCクッキング


上記の写真はABCクッキング。
料理教室は何とか営業を続けているが、新型コロナウィルスの影響でインバウンドは激減してしまった。
いまや、観光立国は死語のようになりつつある。
しかし、地方創生のためには観光立国は死語になっては困る言葉である。
今回は観光立国について取り上げようと思う。

丸の内の慶應のビジネススクールでは、夕学五十講という定期講演会があり、毎回異なったゲストが登壇する。
会場は新丸ビルの7階の大ホールで、新型コロナウィルスの影響もそれほどないと思うのだが、今年の開催はどうなのだろうか。
去年まで、私は前後期5~6回ほど聞きに行っていた。
ただ、少々単価が高いので厳選する必要があり、人気のゲストだと丸ノ内という場所柄、すぐ満員となってしまう。


慶應MCC夕学五十講のデヴィットアトキンソンの講演会


慶應MCC夕学五十講のデヴィットアトキンソンの講演会


さて、観光立国というと、去年ここでデヴィッドアトキンソンの講演会を聞いた。
この講演は、前期の中で最も良かった。
タイトルは「日本の魅力、その活かし方と伝え方」、ようするに観光立国論である。
アトキンソンはゴールドマンサックスのアナリスト出身。
彼の観光立国論はやはり、「お金」をめぐる生々しい話と挑発的で刺激的なセリフで始まった。


「みなさん、そもそも、なぜ観光立国をするのデスか!?」
「・・・・・・」
「もちろん、札束のためデスよね!?」
「・・・・・・」


母国イギリスでは、外国人観光客は札束のように見えると言っていた。
アトキンソンが何を言いたいのかというと、観光立国の最も重要なポイントは「外貨の獲得」なのである。
まあ、北朝鮮が典型例で、分かりやすいと思うが。
しかし、日本人は豊かであるため、そのような自覚がない。
外貨はトヨタやソニーが稼いでくるものだと思い込み、自己満足的な観光立国をしている。
いやいや、観光立国というのはね、実は輸出企業が外貨を稼いでくる話と同じことなのですよ。
例えば地方の特産品を外国人に売る場合、訪問販売か店頭販売か、その違いなのですね。
アトキンソンはそのことを札束という言葉で表現したのだと思う。
だが、会場の聞き手に通じただろうか。
観光立国における札束の問題は、日本人の美徳として避けられがちだからである。
ただ、本来その論点は避けて通れないどころか、最初に議論しておくべきことだ。

アトキンソンのアプローチはいたってシンプルである。
カネを落とす連中(外国人観光客)をいかにして呼び込むか、そのための手段として地方に何を準備してサービスを展開すれば最も効果的なのか。
この点、アトキンソン説によると、五つ星ホテル、カジノ、スキー場、ゴルフ場、ビーチの建設だという。
なるほど、よく分かった!!
ようするに、アトキンソンは自分の行きたい場所を日本にもっと作ってくれ、自分は退屈である、と外国人を代表してひと言モノ申したいということなのだろう。

また、アトキンソンは、美術館、博物館、お城、寺社、こういった地方の文化財、文化施設は外国人観光客にとっても興味深いとはいえ、誰もが見たがるような観光資源ではない、と釘を刺した。
経済効果の点からも、前記のものと比べて劣るので~とも言っていた。
なるほど、そうかもしれないが、、、
でも、アトキンソンは文化財の修復を請け負う建築会社の代表取締役でもあるのだ。
私は、それが自らの首を絞めるような発言にも聞こえておもしろかった。
アトキンソンさんって、私みたいに正直な性格なんですね~!!

ああ、そういえば、パソコンの過去の写真フォルダに、御殿場のゴルフ場(三井住友VISAマスターズ)の記念写真があったのを思い出した!!
最後に、ご紹介しておこう。
バブル崩壊から30年ほどがたち、日本のゴルフ場もすっかり減ってしまったが、多くの外国人観光客がゴルフに訪れれば、また昔のように地方が活性化するのではないだろうか。


三井住友VISAマスターズ、招待券


三井住友VISAマスターズ、御殿場、入口


三井住友VISAマスターズ


三井住友VISAマスターズ


三井住友VISAマスターズ


2020/06/29

これって分断の始まり?

先週末、久しぶりに東京に行った。
土曜日は実家の墓参りと美容室、そのついでに銀座のギャラリーめぐりをした。
日曜日はワイン教室の友達Aさんと一緒に、国立西洋美術館、たばこと塩の博物館、浅草寺などを回った。
しかし、都内はどこも人が出ていない。
スカスカの都内にすっかり慣れたので不自然とは感じなかったのだが、、、


国立西洋美術館


浅草寺


外国人観光客のいない浅草寺もそう。
日本人の私は驚くとともに、実は居心地が良かったりもするのであった。
近年の浅草は外国人観光客が殺到し、街の品位の悪化が問題となっていたからだ。
まあ、外国人観光客がいなくなって、少しは良いこともあったということではあるが、そもそもインバウンド需要に依存しすぎたビジネスは不安定でよろしくない。

今後は日本人の消費に頼るわけだが、この状況だと当分難しそうである。
これから数年間、供給サイドの大規模な縮小が起こり、長期的な経済の低迷が待っている。
いま日本人をターゲットにして新規の設備投資をするなどというのは、間違った経営判断だと思う。
いまは本当に、何もしないのが賢明。
最も賢明な経営判断は、果報(コロナ終息)は寝て待てではないが、自分の店だけしばらく店じまいしてコストを極限まで減らして、耐え抜くことだ。
1年先どころか3ヶ月先も見通せないのだからね。

今こそ、こういう冷徹(??)な経営判断を下すべきだが、多くの経営者はそれを避けているというか、まあ、第三者ではなく当事者なら自分の店がかわいいので、簡単に店じまいなどできっこないわけである。
しかし、老舗が店じまいをしたというニュースを最近よく見かける。
数百年続く飲食店の経験則からは店じまいが正しいのだろう。
もっとも、Aさんと立ち寄った浅草の天ぷら屋、上野のあんみつみはしは、どちらも日本人で非常に混雑しており、そこそこ繁盛しているかに見えた。
人間は食欲には勝てない。
なので、おいしい店には人が集まるのは理屈で、密なんて知ったこっちゃない。
とうとう飲食店の勝敗がハッキリと見えてきたようだが、今後どうなるのだろう。


浅草大黒屋


上野あんみつみはし


ところで10日ほど前になるが、友人で司法書士をしているWさんと久しぶりに会った。
ラーメン屋に行き、カウンター席で隣り合ってラーメンを食べた。
Wさんの話では、新型コロナウイルスはそれほど街の景気に悪影響を与えていない。
彼の住む田舎町では、多くの経営者が身の丈でビジネスをしているので、飲食と観光を除いては、ほとんど何の経済的被害も受けていない、いたって平和ということだった。

「都会の人は派手にやってるから、いざという時は、そういうことになるよ。」
「そうね、ハイリスクハイリターン。」
「都会の人は大変だろうが、うちの方はほとんど大丈夫。とにかく都会から感染者が来ないでほしいな。田舎の人にとっては、それが一番重要だ。」
「ホント、そうですよね!!」

私はWさんの話を聞きながら、これって分断の始まり?と思った。
新型コロナウィルスの被害者は国民全員である。
いつまでも一部の業種だけを助けるのは著しい不平等となるので、今後政府は救済を中止ししていかざるを得ないだろう。
2度目の休業要請は、やはり厳しいのではないか。
となると、感染者の増加は甘受して経済を回していくことになるのかな。

2020/06/18

ダビスタとサイキョウクラウド

私はふだん、Googleのクラウドサービス「GoogleWorkspace」を使っている。
テレワークで欲しい機能がほぼ全てパッケージされており、スタンダードプランなら月額1500円ほどだ。
Googleのサービスは検索エンジンもGmailもYouTubeそうであったが、時間をかけて世界最強の地位を獲得してきた。
いずれ「GoogleWorkspace」も、最強のクラウドサービスとなるのではないか。

ところで、最強クラウドというと、私は「ダビスタ」のことを思い出す。
「ダビスタ」とは園部博之氏が開発した「ダービースタリオン」という競馬育成シミュレーションゲームのことである。
1990年代に大流行し、学生だった私も一時期、深夜まで熱中した。
初期のダビスタは、当時もう廃れていたファミコン版であった。
これは「関東版」と言われるもので、栗東厩舎と関西のレースプログラムはなく、美浦厩舎と関東のレースプログラムだけの簡単な育成ゲームであった。
シンプルで非常に面白かったので、その後、続編の全国版が出た。
まあ、地域版⇒全国版、というのは、「信長の野望」と同じパターンだ。
ダビスタ全国版の後も、スーパーファミコン、プレイステーション、ニンテンドーDSなどへと展開していった。




シリーズの途中からは様々な機能が追加されるようになり、例えばフランスの凱旋門賞が特別レースとして加わるなど、どんどん凝った内容になっていった。
ダビスタはシンプルが売りであったため、凝った内容になるのは賛否両論があったものの、最も支持されたのが「ブリーダーズカップ」であった。
ブリーダーズカップとは、プレイヤーどうしで愛馬のレース対決ができるというものである。
インターネットのない時代は、ドラクエの復活の呪文のようなパスワードをいちいち入力する必要があった。
そして、このゲームを極めたとされる何人かの「ダビスタの達人」たちが業界有名人となり、達人が最強の愛馬を持ち寄り、月刊誌上で決戦をするコーナーが大人気となった。

確か、「サラブレ」という雑誌だったと思う。
そこには、達人の最強の愛馬のパスワードが付録で掲載されていた。
私はそれを自宅で丹念に入力し、自分の愛馬と対決させて楽しんだ。
その中の1頭が、私の愛馬がどうしても勝てないサイキョウクラウドという馬なのであった。
とにかく、何度リセットしてやり直しても勝てないので腹が立った。
サイキョウクラウドは、末脚のスピードがありすぎて、テレビ画面の左端から消えてしまうのだ(東京競馬場の場合は左回りなので右端)。
その時、私の愛馬は、テレビ画面の左端で必死にもがいているのだが。
最強馬は、サイキョウクラウドのほかに、ムラキングメモリー、ノーノーブルックスなどがいた。
この3頭だけはよく覚えている。
その頃、サイキョウクラウドという名前を見て、クラウドとはどういう意味だろう、と思ったものだ。

90年代後半のダビスタブームは、異常なほどのバブルになった。
ダビスタの達人たちはダビスタ「だけ」で生活費を稼いでいた。
競馬雑誌のコラムの執筆、ゲームの攻略本の執筆や監修、ブリーダーズカップのゲスト出演や司会者などで、かなり稼いでいたようである。
ゲーム好きの青少年にとって、彼らは憧れの存在であった。
また、彼らはゲーマーの概念を大きく変えた功労者でもあった。
これまでのゲーマーは、アクションゲームでよけるのがうまいとか、シューティングゲームで連打が速いとか、並外れた反射神経や運動神経の持ち主のことで、肉体労働者としてのイメージがあった。
しかし、ダビスタはシミュレーションゲームであり、ダビスタの達人は頭脳派であった。
現実の競馬の世界には、インブリードなどの複雑な血統理論(配合理論)があるのだが、ダービースタリオンにもそれがかなり忠実に再現されており、ダビスタの達人は血統理論を分析する理論家(アナリスト)としての人気を得たのだった。
まあ、アナリストとはいっても実際には、徹夜の生産作業、検証作業という肉体労働だったろうが、次第にダビスタブームは下火となり、達人はタビスタでは食えなくなってしまった。
その後、達人の何人かは、競馬評論家に転職した。
ここまでの頭脳派は、やはりどこかに拾ってもらえるのだな、と私は感心したものだ。
元達人たちは今も競馬業界でライターや解説者として活躍していると思うが、サイキョウクラウドの生産者はいまどこで何をしているのだろう。