2020/02/21

吉祥寺散歩(2)森の情景

今日は吉祥寺までコンサートに行った。
せっかくだから、時間まで周辺の美術館を回ることにした。
山本有三記念館と太宰治文学サロンに行ったのだが、ジブリ記念館にも行こうか少し迷った。
というのも、今後、新型コロナウイルスのせいで美術館は長く閉館に追い込まれるだろうから、一度はジブリ記念館も見ておきたいと思ったからである。
しかし、永久に閉館されるわけでもなく、今日が見納めというわけでもないので、また今度にすることにした。


山本有三記念館


山本有三記念館「心に太陽を持て」の掛け軸


山本有三記念館の前庭


太宰治文学サロン


以前、山本有三記念館の館員の女性と雑談したとき、太宰治文学サロンもおすすめだと言っていたので、太宰治に興味はないが、いずれ行ってみようと思っていた。
正直、国語の教科書の「走れメロス」の作家で、自殺したということくらいしか知らない。
カフェの給仕の女性と愛人関係となり、などという話もここで見て思い出したが、最も重要な発見は、太宰治の奥さんがきちんとした女性であることだった。
太宰治の成功のかげには、この奥さんの内助の功が大いにあったのだった。


武蔵野市民文化会館エントランスホール


コンサートは武蔵野市民文化会館で行われた。
ダナエデルケン(Danae Dörken)はドイツ人の女性ピアニストである。
彼女はまだ年が若く、30才前後と思われるが、バネがあり、みずみずしい演奏、テクニックもセンスもテンポも期待以上で、私は非常に満足した。


武蔵野市民文化会館ダナエデルケンピアノコンサート


アンコールはドビュッシーとシューマンの2曲、「森の情景(Waldszenen)」はこれまでも何度かコンサート会場のアンコールで聞いたことがあるが、シューマンの曲想はメランコリックで、つくづくアンコール向きだと思う。
おととしの銀座ヤマハホールでは、マルクアンドレアムラン(Marc-André Hamelin)が最後にこの曲(ただしOp82-9「別れ(Abschied)」の方)を演奏していた。

コンサート終了後はサイン会がある。
私はしばらく、近くで彼女の様子を眺めていた。
一生懸命サインを書く彼女の姿が印象に残ったが、日本では有名でなく、サインを求めるファンの数は少ない。
彼女は輝かしいキャリアの持主ではない。
なので、批評家などは持ち上げようがないのでは、とも思った。




ところで演奏会とは直接関係ない話を最後にひとつ。
客席のなかに、こないだの上野奏楽堂の北村明子さんのコンサートで見かけたホームレスと思しきおじいさんを発見した。
ほんの数週間前のことで、身なりが場違いだったのと、口笛のようないびきをかいて寝ていた迷惑客だったので、私はよく覚えていたのだ。

おや、今日は、連れのおじいさんもいるのだな。
いやいや、彼らはホームレスに見えるだけだろう。
だって連れのおじいさん、高そうなスマートフォン(アイフォン??)を持っており、指で上手に使いこなしているではないか。
また、電車賃もチケット代も安くはないのだ。

いや、まあ、彼らが本当にホームレスなのかどうか、それはどちらでもよいことである。
日本はほどほどの平等社会であり、大変に結構。
あいつらホームレスみたいだから会場に入れるな、と怒り出す客がいないのも、いかにも日本らしくて平和でいいことだと思えるのだが、どうだろう。

2020/02/19

資生堂ギャラリー、諏訪綾子「記憶の珍味」



今日は、1月に会ったばかりの新聞社のFさんとまた会った。
日本橋の魚久でランチを食べながらいろいろ話したのだが、その後は1人で、出光美術館の水曜講演会を聞くため有楽町へ向かった。
夜まで時間があるので有楽町のビックカメラに行き、買いそびれていたものを買った。
その後、私はいつものように、銀座でギャラリーめぐりをした。
ただ、この日は回る順番を間違えた。
有楽町のビックカメラから出光美術館はすぐなのである。
だから銀座のギャラリーめぐりを先にするほうがよかった。

有楽町のビックカメラ→日比谷ミッドタウン→銀座の資生堂ギャラリー→出光美術館

これだと、かなりの遠回りをしているような気がするのだが、、、


資生堂ギャラリー「記憶の珍味」諏訪綾子の展示会


資生堂パーラーの横の階段から、地下の資生堂ギャラリーへ。
ここはいつも前衛的な展示をしており、帰りはキツネにつままれたような気分になるのだが、、、今日は入口の案内板に「諏訪綾子展、記憶の珍味」とあった。

はて、記憶の珍味とは何だろう??
まあ、とりあえず中へ。


資生堂ギャラリー「記憶の珍味」諏訪綾子の展示会


展示室には円を描くようにポールが立っていた。
それぞれのポールの上にあるのは、ガラスケースの中に入った怪しげなグミのような物体である。
それをぼんやり眺めていると、白い服の謎めいた女性が近づいて来て説明を始めた。
彼女がアーティストの諏訪綾子さんなのだろうか。
全てのポールの上のガラスケースを開いていき、自分が最も好きな匂いのモノを1つ選んでほしいという。
説明不足でよく分からないが、私は言われたとおりやってみた。
最もマシな匂いのモノを1つ選んだ。
これ以外は、匂いを嗅いだときに少なからず抵抗感があったので、選んだというよりは消去法である。
その後は1人ずつ順番待ちの列に並ぶことになった。
7~8人の列で30分くらい待たされてから、順番が来て白い服の女性に呼ばれた。
私は、彼女の案内にしたがって、真っ暗闇の小部屋に入った。

そのまま奥の部屋に入ってください。

私はさらに闇の奥へと進んで行った。

そこのカーテンをあけてください。カーテンの向こうに、あなた専用の珍味があります。その珍味を手に取り、匂いを嗅いだら、食べてもかまいませんよ。

カーテンをどかすとそこもまた暗闇であった。
が、暗闇の中央に、こうこうとグミが光っていた。
私はそれを手に取り、匂いを嗅いで、私が選んだ匂いであることを確かめた。
が、だからといってここですぐ食べる気にはなれなかった。
しかし、まあ、どんな味がするのかは気になって、少しだけ噛み切って口に入れてみた。

なあんだ、やっぱりただのグミだな。

私は今日もキツネにつままれたような気分で資生堂ギャラリーを出ることになった。
以前、ワイン教室で味覚と嗅覚の関係について詳しく聞いたことがあるが、それと似たようなことがコンセプトのような気もする。
あとで諏訪綾子さんのことを調べてみると、Food Creationのアーティストとのこと。

夕方になり、私は銀座シックスの大通りを歩いて、4丁目の交差点から晴海通りに入り、ソニーパーク前の道路で客引きに呼び止められた。
私は手にチラシを持たされた。
いま、ソニーパークではQUEENのイベントをやっているのだという。
なるほど、「QUEEN」か、、、出光の講演会まで少し時間があるので、QUEENのイベントを急いでひととおり見て回ることにした。
こちらはエンタテインメントで、どれも非常に楽しかった。
QUEENなんて実に懐かしい。


銀座ソニーパーク、QUEENイベント


銀座ソニーパーク、QUEENイベント





出光美術館の水曜講演会にはぎりぎりで間に合った。
講師は東京大学の東洋文化研究所の研究者である。
そもそも今回の狩野派の展示は、私のような素人には難しく、マニアックすぎる。
しかし、学術的には重要なことのようで、その重要性は内覧会のときにも聞いた。
それにしても出光美術館に来るといつも感じることがある。
私が学校などで教わってきた日本の伝統文化の数々も、遡っていくと中国文化をルーツとしているものが多くあるのだ。


出光美術館「狩野派」の展示会


私たち日本人のアイデンティティーは、中国なしには考えられない。
しかし、多くの日本人が、中国人(中国)をばかにしたり見下したりするのはどうしてだろう。
歴史認識や共産主義思想などの複雑な問題が絡んでいるからだと思うが、もう少し良好な関係を築けるといいのだが。
夜遅く帰宅すると、出光美術館から本年度の研究紀要が届いていた。
今年はどのような話が書かれているのだろうか。
明日、読んでみることにしよう。


出光美術館書籍

2020/02/18

たばこと塩の博物館、パイプの思い出話

ABCクッキングのみそかつ料理


先週末のABCクッキングは、これまでのメニューのなかでベスト3に入るほどおいしかった。
メインの料理は「みそかつ」である。
今日はワイン教室がある。
新型コロナウィルスで何やら世間が騒がしいが、例のごとく、ワイン教室の前の寄り道で美術館めぐりの予定も入れた。

たばこと塩の博物館→三井記念美術館→東京都庭園美術館


たばこと塩の博物館


初めて行くたばこと塩の博物館は、東京スカイツリーのそばにある。
立派な建物なのに入場料が100円で、1度は行ってみたいと思っていた。
常設展と企画展の両方で100円なのである。
ところが、ちょうど展示替えの期間にぶつかっており、企画展は準備中であった。
もう少し待てば浮世絵の企画展が始まると聞き、少し残念だったが、また来ればいい。

常設展は塩コーナーと、たばこコーナーに分かれている。
岩塩を眺めても私はつまらないので、たばこコーナーの方をじっくり鑑賞した。
館内は広くて静かで、居心地が良かった。
が、まもなく、年配の女性たちのグループ客が向こうから歩いてきて、うるさくなった。
私は彼女たちから少し距離を置くようにして鑑賞を続けた。


たばこと塩の博物館のパイプの展示物


そのうち、彼女たちはパイプのコーナーの前で懐かしがって立ち止まり、雑談を始めた。
死んだ旦那が使っていたパイプの話、厳しい父親が使っていたパイプの話、交際相手が使っていたパイプの話、憧れの人が使っていたパイプの話。
私は少し距離を置いたまま、面白がって聞いた。
そのうち私は、静かに黙ってまじめに見るよりも、彼女たちの鑑賞方法が正しいと思い始めた。
昔の友達と美術館で思い出話に花が咲く、私もいずれはそんな人生を送りたいと思った。


三井記念美術館「三井家のおひなさま」


続いて半蔵門線で押上から三越前へ行き、三井記念美術館に行った。
ここは毎年、この季節におひなさまの展示会をする。
自分は男なのでスルーしてもよい展示会なのだが、三越前駅で乗り換える必要があり、ついでに見にいった。
その後は、三越前から銀座線に乗り、溜池山王で乗り換えて白金台へ。
白金の大通りを歩き、東京都庭園美術館へ。


東京都庭園美術館「ルネラリック」


今日は「ルネラリック」の企画展。
ここは館内が広く、展示品の数も比較的多い。
1つ1つ真剣に見ると時間が足りないので、私は歩きながらざっと見た。
夕方、表参道のワイン教室「キャプラン」に少し遅れて到着。
講座の後はいつものように、先生と受講生たちで近くのフレンチレストラン(ジャリーヴ)へ行き、食事とワインを楽しんだ。


ジャリーヴ


さて、このレストランは表参道駅前の大通りの交差点の好立地にある。
料理はおいしいし、フレンチにしては高くない。
が、夜はいつ行っても空いている不思議なお店なのだ。
常連でも空いている理由を店主には聞けないので、みんなで何度か理由を話し合ったことがある。

「ランチが大人気だから、ランチで稼いでいるんだよ。」
「でも、ランチはお酒が出ないから、稼げないでしょ。それに、ランチが大人気なら、夜だって、ある程度は客が来て混雑するはずでは?」
「まあ、ご夫婦でやっていて、人件費がかからないから、別に稼がなくても。」
「いや~、この立地でこの広さの店なら、家賃は相当な額だよ。」
「じゃあ、きっとムッシュがビルのオーナーなんじゃないかな~。」
「まさか。ビルのオーナーが激務の料理人なんてやらないでしょう。」

今もなお、説得力のある仮説はない。

2020/02/14

銀座王子ホール、ヴィヴァルディ「四季」

今日は、銀座の王子ホールでコンサートを聞いたが、早めに家を出て昼間に都内の美術館巡りもしてきた。

石洞美術館→古代オリエント博物館→相田みつを美術館→シャネルギャラリー→王子ホール

石洞美術館は、京成線の千住大橋駅のすぐ近くにあるマイナーな美術館である。
やきものがメインで、近所にある千住工業の創業者佐藤千尋が作った。
佐藤千尋は大物コレクターで、石洞とは彼の雅号(ペンネーム)である。

千住大橋駅は乗り換えが不便で、北千住駅から千代田線で町屋駅、町屋駅から京成線で住大橋駅というふうに1駅の乗り換えが続くので、Googleマップを見ながら北千住駅から徒歩で行ってみることにした。
1年以上前、知人に聞いたのだが、北千住は地価が上昇し、バブルになるかもしれない、という話であった。
確かに地元の商店街の通りは、不動産屋がいくつも出店しており、若者が多く出歩いていた。
北千住は交通の便がいいし、下町でモノが安いので、まあ、納得はできる。

国道4号線に出ると、ウーバーイーツ(Uber Eats)の自転車にさっと追い抜かれた。
4号線をしばらく歩き、曲がって少し歩くと千住大橋駅、そこから住宅街を歩き、3分ほどで到着。
石洞美術館はそれほど大きな美術館ではなく、私はコレクションを20~30分ほどで見終えた。
その後はガラス張りのミュージアムカフェ「妙好」へ。


石洞美術館「輝けるメタルアート」


ここは障がい者支援施設が運営するカフェのようだが、こないだ美術館に来た時は休みだった。
しかし、今日は営業していて初めて入った。
喫茶のほか、パンの販売もしており、なかなか人気のようだ。
おお、お昼前なのにパン完売の札が置いてあるじゃないか。
この様子だと、美術館の客よりパンを買う客の方が多かろう。


石洞美術館、妙好


石洞美術館、妙好


窓際のテーブルでケーキセットを食べながら、私はさわやかな気分になった。
ガラス張りの店内は陽光が差し込んで明るく、美術館と同様に時間がゆっくりと流れており、静かで落ち着いた雰囲気である。
レジのところで、障がい者支援施設の女性職員と数人の男女が談笑している。
別に聞かなくてもいいのだが、私は会計の時、売り切れたパンは何なのか聞きたくなった。
が、タイミングが悪く、別の女性客も並んでいたため、質問をせずカフェを出ることに。
その後は、美術館を出て千住大橋駅に戻り、京成線で町屋駅へ行き、都電荒川線に乗り換えた。


都電荒川線


さて、この路面電車、もちろん、のろのろ運転である。
しかし、東池袋のサンシャインシティー近くまで1本で行けるので、多少時間がかかっても構わないと思って乗った。
ただ、道路が非常に混雑しており、予想以上に時間がかかった。
まあ、路面電車は都会の景色をゆっくり楽しめるので乗っていて楽しかったのだが、ずいぶん遅くなった。


古代オリエント博物館


サンシャインシティのはずれの古代オリエント博物館へ。
入るのは初めてだが、古代オリエントなんて言葉を聞くと、私は社会科の退屈な授業を思い出す。
しかし、展示は見ごたえがあった。
近現代の美術品にも似た展示品がいくつかあり、時代を超えてもなお変わらない美術の王道のようなものを見た。

その後は東池袋から有楽町まで地下鉄に乗り、東京国際フォーラムの相田みつを記念館へ。
いつものように、「つまづいたっていいじゃないか、人間だもの」が展示されている。
30分ほどギャラリーを回り、相田みつをの様々な詩を読んだ。


相田みつを記念館


その後、記念館を出た私は銀座方面に歩き、今度は松屋の向かいのシャネルのビルのギャラリー(シャネルネクサス)に入った。
今回は、「ヤコポ・バボーニ・スキリンジ」という非常にややこしい名前の人の展示会をしていた。

ヤコポ・バボーニ・スキリンジ、、、
濁点の付き方がややこしいと、何度聞いても覚えられない。

スキリンジは写真家であるが、それとともに現代音楽家でもある。
自身作曲の楽譜をモデルの裸体(ヌード)に書き込み、そのヌード写真を撮る。


シャネルネクサスギャラリー「ヤコポ・バボーニ・スキリンジ」


シャネルネクサスギャラリー「ヤコポ・バボーニ・スキリンジ」


作品のほとんどはその手のヌード写真。
スキリンジはアーティストであると同時に、巧妙に自分を売る商売人だな、と私は思った。
しかし他方で、これらが芸術的な写真であることは間違いがない。
とはいえ、スキリンジ自らがモデルの裸体に楽譜を書き込んでいるのだとすれば、スキリンジはいま話題の「濃厚接触主義者」だ。
今後、新型コロナウィルスがさらに猛威をふるうと、スキリンジも他の芸術家もその表現活動を著しく制約されるだろう。
表現の自由の萎縮、という話が憲法の論点ではあるのだが、このままだと本当にそうなるかもしれない。
今後、世の中はどうなってしまうのだろう。


銀座王子ホール


そろそろ、コンサートの時間が近づいてきた。
私は松屋で買い物をしてから三越の裏手へ回った。
王子ホールは銀座三越の裏手にある。
パンフレットによれば、バイオリン、ヴィオラ、チェロといった弦楽器のコンサート、ヴィヴァルディの「四季」がメインで、かなりの人気コンサートのはずだ。
するとやはり、私がラウンジに入った時には行列ができていた。

私はすみっこの席に座った。
電話があって外から戻ると、まもなくコンサートが始まった。
演奏者の簡単な自己紹介。
弦楽器のコンサートなので、そのほとんどがどこかのオケの団員である。
現役バリバリの彼らが集合練習の時間を十分に取れるとは思えないが、どの演奏も完成度が高く、私は感心して聞いた。
とくに素晴らしかったのは、大阪の楽団員の男性が中心となって演奏した「夏」であった。


RAMON DILLY 「Les Musiciens De deauville」


コンサート終了後。
私はロビーの柱に寄りかかってスマホを眺めていたが、私のそばに演奏家の男性が歩いてきて若い女性と雑談を始めた。
私には何となく、その男性の風貌が「夏」の大阪の楽団員そっくりに見えた。
ただ、よく見ると人違いのような気もする。
自信は持てなかったのだが、、、バイオリンケースを持っているから本人だと思う。
何て話しかけようか、人違いかもしれないから話しかけない方がいいかしら。
私は、女性が立ち去った後、思い切って、彼に話しかけた。

「今日の演奏は素晴らしかったです。」
「ありがとうございます。」
「あのう、「夏」を演奏した大阪の方ですよね、「夏」が一番良かったです。」
「いや、私は別人です、、、」
「あ~、これは失礼しました!!」(あ~、やっぱり)
「いいえ、とんでもない。楽屋で彼に伝えておきます。」

まあ、何というか、結果、人違いではあったものの、演奏家本人には伝わるというので、その目的は達したのである。
思い切って話しかけたのは間違いではなかった。
確かに、赤の他人に話しかけるのは非常に勇気がいる。
しかし、青春時代、誰にでも経験があると思うが、話しかけなければ本当にそれっきりなのである。
勇気を出して話しかける、そうすれば多くの場合、自分にも他人にも良いことがあるだろう。

2020/02/13

ハッピーバレンタイン!!

2月に入ると、バレンタインの話題で盛り上がる人たちがたくさんいる一方で、縁がなく盛り上がらない人たちもいる。
ただそうはいっても、家族から何らかのチョコをもらう人はわりと多いのではないか。
今年の私は、うちのママ殿からチョコをもらった。

「チョコをくれる人がいないから、私があげます。」
「ど、どうもありがとうございます、、、(*'ω'*)」
「ところで、今年のバレンタインは、どこにも連れてってくれないのね。」
「そ、そう言われればそうですね、、、(^_^ゞ」
「去年は横浜にジャズを聞きに行ったけど、今年はこういう状況だし、やっぱり無理よねえ。」
「でも、横浜は遠いから行きたくないでしょう??」
「そうね。気が進まないわね。」

実は去年、バレンタインの前週に、ママ殿と一緒に日帰りで横浜に遊びに行ったのだ。
ママ殿はジャズが好きで、ジャズコンサートを探したが、横浜の赤レンガ倉庫の中にあるおしゃれな「モーションブルー(Motion Blue)」というライブ会場を見つけた。




当日、私たちは昼過ぎに日本大通り駅に到着した。
そこから歩いて、まず、シルクミュージアムという絹の資料館を見に行った。
おしゃれなイメージの横浜にしては、建物は古くさく、ずいぶんシブい資料館であった。
しかし、ちっとも横浜らしくないのに、私にとって、この資料館は見所があって非常に良かった。
資料館を出てから私たちは大通りを東に歩き、横浜中華街へ。
どこで食べるか迷ったが、目に付いた中華料理店で遅めの昼食をとった。




(物欲しげに点心の入れ物を覗き込むママ殿)


食後はしばらく、山下公園を二人で散歩。
最近上京してきた人は、山下公園というとデートスポットで有名だから行ってみたい、と思うかもしれない。
が、ここはわりと、どこにでもある普通の公園である。
私は以前、神奈川県に住んでいたので知っているが、横浜はとにかく、イメージが非常にイイ。






公園内は、平日昼間なので家族連れが多かった。
埠頭の方に貨物船が停泊している。
中に入って見ることのできる観光名所のようだが、私たちは入らなかった。
確か、あれは「ぐるっとパス」の案内で見たことがあるような気もするのだけど??

夕方になった。
ライブの開始までまだ2時間近くある。
ママ殿と私は赤レンガ倉庫の中のレストランでコーヒーを飲んで時間を潰すことにした。




(赤レンガ倉庫の前で雑誌モデルのようにたたずむママ殿)


その後は、まだ小一時間あるので、雑貨屋を覗いたりして過ごした。
そろそろかな、と思ってバルコニーに出ると日が暮れていて、赤レンガ倉庫がライトアップされており、ロマンティックな光景に変わっていた。
そろそろ時間になったので私たちはモーションブルーへ。








この日のライブはプロデビューしたばかりの中年の女性歌手によるものだった。
しかし、残念ながら彼女は実力不足で、アマチュアの彼女の貸し切り発表会、という感想を私は持った。
私たちはおいしい料理を食べながらそれなりに楽しんだものの、音楽に関してはがっかりだった。
本当に、音楽も美術も、アーティストというのはぴんきりなのだ。
また今度、ジャズコンサートをママ殿と一緒に改めて聞きに行く必要がある(2019/07/20「コンサートバブル」)。

ライブが終わったのは9時過ぎ。
みなとみらいのオフィス街は真っ暗で人の気配がなかった。
大通りを二人きりで歩き、地下鉄の駅構内に入った。
やはり、ここも人が歩いていない。
しかし、駅のホームまで行くと電車を待つ人はそれなりにいて、電車に乗るとだんだん人が増えた。
混雑する車内で、私はママ殿に話しかけた。

「夜になると人が消えてしまうとは、、、実に不思議です。」
「そうね。昼間にいたあれだけの人たちは一斉に帰ったのかしら??」
「もう9時過ぎてますから。」
「そういえば、大通りの交差点の向こうの高層ビルだけ、電気が煌々とついてたわ。」
「ああ、あのビルは横浜銀行です。」
「そうなの。バブルでもないのに、銀行の人はいつも夜遅くまで大変ね~。」
「ええ、いまはバブルではないが、マイナス金利ですから。」

2020/02/12

北村明子さんのフランツリスト「歌の本」

毎年2月ごろ、東京芸術大学の学生の考査のコンサートがある。
その中には、博士課程の大学院生の単独のコンサートもあり、これは案外、若手実力派が出ることがある。
去年は長尾春花さんというバイオリニストのコンサートで、バルトークの無伴奏バイオリンのためのソナタだった。
ステージの長尾さんは小柄でかわいらしく、演奏は知的で控えめ、博士課程に在籍する現役学生なので、何となく、派手なタイプよりも職人タイプが多いのだろう。
彼女の演奏を聞き、十分活躍できそうだと思ったが、後日、彼女の名前を音楽雑誌かなにかで見かけた。
さて、今年はピアニストの北村明子さんである。


上野の森美術館


まず芸大のキャンパスに行く前に、上野公園のエレベーターを上がってすぐのところの上野の森美術館に立ち寄った。
絵画教室の学生の受賞作品の展示会である。
正面入口は閑散としている。
この前の展示会はフェルメール、このときは入口に大行列ができており、事件でもあったのかと思うほどだったが、それとは対照的である。


上野の森美術館絵画教室の学生の受賞作品の展示会


上野の森美術館絵画教室の学生の受賞作品の展示会




ギャラリーをざっと見て回った。
絵画教室の学生の作品は、大人の作品とは違うし、プロや芸大生の作品とも違う。
生命力や躍動感があり、力強さというか何というか、持て余しているエネルギーのようなものが込められている。
そこが学生作品の魅力だと思う。


旧奏楽堂


その後、芸大キャンパスに行く途中、交差点の手前にある旧奏楽堂にも寄り道。
これまでも何度か中に入ったことはあるのだが、こないだ芸大卒の陶芸家の女性と奏楽堂の話をしたら、現在の奏楽堂ではなく旧奏楽堂の思い出話をしてくれたので、何となく中を見たくなったのだ。

旧奏楽堂内を30分ばかり見てから、芸大キャンパスの奏楽堂へ。
奏楽堂の入口にはすでに50人程度の列ができていた。
北村明子さんの今回の演奏曲はリストである。
「歌の本」というマイナーな曲集で、パンフレットを見ると、どの曲も題名が直訳されており、ピンと来るものではなかった。
題名が直訳されている場合、曲が難しくて聞きにくいものが多いように思う。
今日はどうだろう。


奏楽堂北村明子ピアノコンサート


北村明子さんの演奏が始まった。
フランツリストというと「ラカンパネラ」「愛の夢3番」などが有名である。
しかし、その手のピアノ曲とは雰囲気が違うものもリストにはある。
実は作曲家としてのリストはスピリチュアルな世界に傾倒し、「ヴェネツィア」などの宗教的瞑想的な曲も数多く残している。
こちらはお馴染みのリストと比べるとやや退屈に感じるが、テクニカル的にも表現的にも極めて難度が高いものばかりだ。
彼女の考査のコンサートは、うしろで教授陣が採点しているためなのか、演奏も仕草も終始ぎこちなかった。
ただ、彼女は小柄だが姿勢と弾きっぷりがなかなかいいのだ。
後半はのびのび演奏できるようになり、本領を発揮したと思う。

プログラムの最後の曲が終わった。
コンサートといってもこれは考査なので、アンコールもなくあっさりと終了。
拍手のなか、鮮やかなドレス姿の彼女はすぐ舞台袖に消えてしまった。
去年の長尾さんのように彼女も活躍できるといいな、と思って私は拍手を送ったが、次回は彼女のリストではなく、ショパン、モーツアルトあたりを聞いてみたいものだ。


昇龍のワンタンメン


さて、コンサート後は帰宅するつもりだったが、こないだの地方創生イベントで知り合ったHさんが、ゲームで街おこしという類似のテーマでイベントをするから来ませんかというので、もしかして行くかも、とだけ伝えていた。
上野から外苑前まで30分ほどかかる。
どうしようか迷ったが、アメ横を歩き、途中のラーメン屋「昇龍」で早めの夕食をとりながら、ちょっとだけ顔を出すことにした。
上野広小路駅から銀座線に乗り、外苑前へ。

ゲームで街おこしの会場は、外苑前駅から歩いてすぐのオフィスビルのなかで、私が通うワインスクール「キャプラン」のすぐそばだった。
エレベーターを上がると、、、ここって、PRタイムズのオフィスではないか!!




女性に案内されてガラス張りのオフィスを横切り、奥の広いラウンジに入った。
オフィスの中を見回した私は、PRタイムズはずいぶん大きな会社になったものだなあ、と思った。
別にPRタイムズのことをよく知っているわけではないのだが、PRタイムズのサービスのことはかなり昔から知っており、上場したことも知っていたので、何となくそう思った。

もっとも、きれいなオフィスとは裏腹に、ゲームで街おこしのイベントは実に簡素なものだった。
最初にSNSのマーケティングをしているという会社の女性社長が30分ほど講演をした。
その後、Hさんのゲームで街おこしの講演となった。
身体を動かすゲームのことを「Eスポーツ」という。
Eスポーツの大会を地方で開催し、地方経済を活性化しましょう、という地方創生の話である。
田舎なら場所も設備もあるし、ゲームなら若者が集まりやすい。
過疎化に悩む地方自治体はありがたいでしょう、ということだ。
まあ、しかし、全体としてはなかなか興味深い話だが、まだ具体的な話には至っていないようだった。




その後は立食の懇親会。
今日は全員と名刺交換をしてください、とHさんが会場に周知したので、軽食をとりながらほぼ全員と名刺交換をする「はめ」になった。
この試みはHさんの配慮と思われたが、お互いじっくり話す時間がないので誰とも親しくなれないという問題がある。
また、名刺を数枚しか持ち歩いていない人は困るだろう。

おや、今から名刺交換をする目の前のこのおじさん、そういえば顔見知りである。
こないだの地方創生イベントで知り合った不動産会社の部長Fさんではないか。

その後、私はほとんどの時間を、彼と雑談して過ごした。
帰り道も途中まで一緒で、電車内でもいろいろな話をした。
電車をおりるとき、今度ランチでもしましょう、ということになり、とりあえず3月にその予定を入れた。
いまは新型コロナウイルスのことがあるので、3月はどうなるか分かりませんけどね~そんな言葉を交わして私たちは別れたのだが、これから先、世の中はどうなるのだろう。

2020/02/10

ゲイシャ、ワイン、出光美術館

今日は散髪と、夜に出光美術館の内覧会がある。
いつものように、私は美容室の予約時間より早めに行き、銀座を散歩することにした。

ソニーイメージングギャラリー→ポーラミュージアムアネックス銀座→銀座グラフィックギャラリー

どれも無料、ものの10分で見終わるので快適。
夏は涼しく、冬は暖かい。
どんなに銀座の街が混雑しても、ギャラリーはすかすか。
見に行って損はないと思うけどね。




メルサのそばのポーラミュージアムアネックスでは、日本の伝統芸能の展示会を開催していた。
展示品の能面を手に取り、顔にあててみると何ともいえない重厚感がある。
何となく私は、横溝正史の推理小説を思い出した。


銀座4丁目交差点


ソニーのギャラリーは銀座4丁目の交差点のビルの中にあるのだが、交差点の信号待ちの通行人がやけに少ない。
ソニーギャラリーを見た後、資生堂のある花椿通り方面へ歩き、アマンドのそばの銀座グラフィックギャラリーに入った。
河口洋一郎の展示会を開催しており、地下1階の展示室に入るとSFのムードが漂っていた。
私は何となく、任天堂の名作SFゲーム「メトロイド」を思い出した。




その後、資生堂美容室でカットをし、少し時間があったので松屋の地下の銀座キャピタルで休憩。
ここは700円ほどで、ゲイシャ「ブレンド」が飲める。
こないだ日比谷公園近くの大通りで、ゲイシャ専門のカフェを見かけたが、あれほどの高値でコーヒーを飲むのは、私にはちょっとできない。
まあ、ブレンドであるが、ゲイシャも飲みつけてしまえば、どうってことのないコーヒーのひとつであるような気がする。
そういうわけで、いまの私はもうゲイシャブレンドすら興味がなく、気軽に松屋ブレンドを注文した。
ブレンドはくせがないので飲みやすい。


銀座キャピタル


出光美術館「狩野派」


出光美術館の内覧会へ。
この日は、「狩野派」の企画展の内覧会であった。
内覧会の最初に企画展担当の学芸員の解説付きで20~30分ほどグループ鑑賞の時間が設けられるのだが、その時はいつも人だかりで見づらい。
だから私は早めに行き、内覧会開始前に1人で自由に鑑賞するのだが、展示室を回った後はラウンジでぶらぶらしていた。
すると、ちょうど女性職員(Fさん)が向こうから歩いて来て、なぜか挨拶を交わす流れに。
まだ招待客が数人しか来ておらず、私はひまで、彼女はお手すきだった。
ただ、シロウトの私は狩野派をよく知らず、彼女の専門的な説明を聞いてもピンとこない。
極め札、箱書き、添え状~こういう難しい専門用語が彼女の口から飛び出したが、まあ、自分の家にそんな高尚な物がないのだからピンと来ないのは当然である。

何十人もの招待客が集まり、ツアー旅行客の一団のようになって展示室を回った。
その後、ラウンジでお茶会が始まった。
軽食と雑談の時間。
Fさんとまた話す機会があった。
ワインの話をすると彼女もかなりのワイン好きで、すぐに話が盛り上がった。
この辺りに勤務する人はどこでワインを飲むのか聞くと、帝劇ビルの隣(国際ビル)にエノテカのワインショップがあることは私も知っていたが、実はショップの左奥の扉の向こうにワインバーがあるんですよ、と教えてくれた。
仕事帰りそのワインバーへふらっと飲みに行くのが好きだと言い、私にもそこをおすすめしてくれた。
また、今日はすぐそばの一保堂のお茶しか出なかったが、かつては内覧会の招待客にワインやビールをふるまっていたという。
ただ、お酒を飲むと帰ってくれなかったり、トラブルになったりするので、いまはお酒を出さないそうだ。
お酒はとにかく、お互い後始末が大変なのだ。

内覧会が終わった。
私は、早速そのワインバーへ行ってみることにした。
なるほど確かに、エノテカのワインショップの左奥に小さな入口の扉があった。
入るとこじんまりとした、ジャズの似合うモダンな雰囲気のワインバーであった。
私はソファーに座り、グラスで辛口の白ワインと、パスタを頼んだ。
だが、ワインはすぐに出てきたものの、パスタがなかなか出てこない、、、

そうだ!!
地元でオープン予定のワインバーのために、ここのワインリストをメモしておこう。
ただ、店のメニューをスマホで撮影するのは盗撮のようで気が引けるので、私はかばんからノートを取り出して1点1点メモをした。
こんなふうにノートをとるなんて、なんだか、学生気分で懐かしいなあ、、、


丸の内のエノテカのワインバー


メモの途中でようやく、女性店員がパスタを持って来た。
私は書くのを中断し、パスタを口にしたが、食べ過ぎでほとんど口に入らなかった。
う~ん、失敗した。
デザートワインだけを頼めばよかったのだ。
こうして私は、パスタもワインも半分ほど残して、午後10時過ぎに店を出たのだった。