2020/02/14

銀座王子ホール、ヴィヴァルディ「四季」

今日は、銀座の王子ホールでコンサートを聞いたが、早めに家を出て昼間に都内の美術館巡りもしてきた。

石洞美術館→古代オリエント博物館→相田みつを美術館→シャネルギャラリー→王子ホール

石洞美術館は、京成線の千住大橋駅のすぐ近くにあるマイナーな美術館である。
やきものがメインで、近所にある千住工業の創業者佐藤千尋が作った。
佐藤千尋は大物コレクターで、石洞とは彼の雅号(ペンネーム)である。

千住大橋駅は乗り換えが不便で、私の場合、「北千住駅→(千代田線)→町屋駅→(京成線)→千住大橋駅」というふうに1駅の乗り換えが続くので、今回は北千住駅から徒歩で行ってみることにした。
1年以上前、知人に聞いたが、北千住は地価が上昇し、バブルになるかもしれない、という話であった。
確かに地元の商店街の通りは、不動産屋がいくつも出店しており、若者が多く出歩いていた。
北千住は交通の便がいいし、下町でモノが安いので、まあ、納得はできる。

国道4号線に出ると、ウーバーイーツ(Uber Eats)の自転車のお兄さんにさっと追い抜かれた。
私の住む町では、そば屋の出前のバイクは見かけるが、ウーバーイーツの自転車などほとんど見ない。
さすが北千住である。

4号線をしばらく歩き、曲がって少し歩くと千住大橋駅、そこから住宅街を歩き、3分ほどで到着。
石洞美術館はそれほど大きな美術館ではなく、私はコレクションを20~30分ほどで見終えた。
その後はガラス張りのミュージアムカフェ「妙好」へ。


石洞美術館「輝けるメタルアート」


ここは障害者施設が運営するカフェで、こないだ来た時は休みだったが、今日は開いていて初めて入った。
喫茶のほか、パンの販売もしており、かなり人気があるようだ。
おお、お昼前なのにパン完売の札が置いてあるじゃないか。
この様子だと、美術館の客よりパンを買う客の方が多かろう。


石洞美術館、妙好


石洞美術館、妙好


障害者の男性が、私の席にケーキと紅茶を運んできた。
窓際のテーブルでケーキセットを食べながら、私はさわやかな気分になった。
ガラス張りの店内は陽光が差し込んで明るかったし、時間がゆっくりと流れており、静かで落ち着いた雰囲気。
レジのところで、障害者の男女と、支援の女性職員が談笑している。
別に聞かなくてもいいのだが、私は会計の時、パンのことをいろいろ聞いてみたくなった。
何を聞こうか考えてレジへ会計に行った。
しかしタイミングが悪く、別の女性客も待っていたため、私は何も話さずカフェを出ることに。
ちょっと残念、、、
その後は、美術館を出て千住大橋駅に戻り、京成線で町屋駅へ行き、都電荒川線に乗り換えた。


都電荒川線


さて、この路面電車、もちろん、のろのろ運転である。
しかし、東池袋のサンシャインシティー近くまで1本で行けるので、多少時間がかかっても構わないと思って乗った。
ただ、道路が非常に混雑しており、予想以上に時間がかかった。
まあ、路面電車は都会の景色をゆっくり楽しめるので乗っていて楽しかったのだが、ずいぶん遅くなった。


古代オリエント博物館


サンシャインシティのはずれの古代オリエント博物館へ。
入るのは初めてだが、古代オリエントなんて言葉を聞くと、私は社会科の退屈な授業を思い出す。
しかし、展示は見ごたえがあった。
近現代の美術品にも似た展示品がいくつかあり、時代を超えてもなお変わらない美術の王道のようなものを見た。

その後は東池袋から有楽町まで地下鉄に乗り、東京国際フォーラムの相田みつを記念館へ。
いつものように、「つまづいたっていいじゃないか、人間だもの」が展示されている。
30分ほどギャラリーを回り、相田みつをの様々な詩を読んだ。


相田みつを記念館


その後、記念館を出た私は銀座方面に歩き、今度は松屋の向かいのシャネルのビルのギャラリー(シャネルネクサス)に入った。
今回は、「ヤコポ・バボーニ・スキリンジ」という非常にややこしい名前の人の展示会をしていた。

ヤコポ・バボーニ・スキリンジ、、、
濁点の付き方がややこしいと、何度聞いても覚えられない。

スキリンジは写真家であるが、それとともに現代音楽家でもある。
自身作曲の楽譜をモデルの裸体(ヌード)に書き込み、そのヌード写真を撮る。


シャネルネクサスギャラリー「ヤコポ・バボーニ・スキリンジ」


シャネルネクサスギャラリー「ヤコポ・バボーニ・スキリンジ」


作品のほとんどはその手のヌード写真。
スキリンジはアーティストであると同時に、巧妙に自分を売る商売人だな、と私は思った。
しかし他方で、これらが芸術的な写真であることは間違いがない。
とはいえ、スキリンジ自らがモデルの裸体に楽譜を書き込んでいるのだとすれば、スキリンジはいま話題の「濃厚接触主義者」だ。
今後、新型コロナウィルスがさらに猛威をふるうと、スキリンジも他の芸術家もその表現活動を著しく制約されるだろう。
表現の自由の萎縮、という話が憲法の論点ではあるのだが、このままだと本当にそうなるかもしれない。
今後、世の中はどうなってしまうのだろう。


銀座王子ホール


そろそろ、コンサートの時間が近づいてきた。
私は松屋で買い物をしてから三越の裏手へ回った。
王子ホールは銀座三越の裏手にある。
パンフレットによれば、バイオリン、ヴィオラ、チェロといった弦楽器のコンサート、ヴィヴァルディの「四季」がメインで、かなりの人気コンサートのはずだ。
するとやはり、私がラウンジに入った時には行列ができていた。

私はすみっこの席に座った。
電話があって外から戻ると、まもなくコンサートが始まった。
演奏者の簡単な自己紹介。
弦楽器のコンサートなので、そのほとんどがどこかのオケの団員である。
現役バリバリの彼らが集合練習の時間を十分に取れるとは思えないが、どの演奏も完成度が高く、私は感心して聞いた。
とくに素晴らしかったのは、大阪の楽団員の男性が中心となって演奏した「夏」であった。


RAMON DILLY 「Les Musiciens De deauville」


コンサート終了後。
私はロビーの柱に寄りかかってスマホを眺めていたが、私のそばに演奏家の男性が歩いてきて若い女性と雑談を始めた。
私には何となく、その男性の風貌が「夏」の大阪の楽団員そっくりに見えた。
ただ、よく見ると人違いのような気もする。
自信は持てなかったのだが、、、バイオリンケースを持っているから本人だと思う。
何て話しかけようか、人違いかもしれないから話しかけない方がいいかしら。
私は、女性が立ち去った後、思い切って、彼に話しかけた。

「今日の演奏は素晴らしかったです。」
「ありがとうございます。」
「あのう、「夏」を演奏した大阪の方ですよね、「夏」が一番良かったです。」
「いや、私は別人です、、、」
「あ~、これは失礼しました!!」(あ~、やっぱり)
「いいえ、とんでもない。楽屋で彼に伝えておきます。」

まあ、何というか、結果、人違いではあったものの、演奏家本人には伝わるというので、その目的は達したのである。
思い切って話しかけたのは間違いではなかった。
確かに、赤の他人に話しかけるのは非常に勇気がいる。
しかし、青春時代、誰にでも経験があると思うが、話しかけなければ本当にそれっきりなのである。
勇気を出して話しかける、そうすれば多くの場合、自分にも他人にも良いことがあるだろう。