2022/11/10

The Story of Blue Rose(3)「夢をあきらめないで」「上をむいて歩こう」

サントリーホール


最近私は終活講座をする機会が多いのだが、そこでは毎回、デジタル終活を取り上げる。
パソコンやインターネットの個人情報をそのままにして死んでしまうと遺族が困る場合がある。
そこで生前整理が好ましいということで、終活の一環として、デジタル終活をする人が増えているのである。
例えば、①パソコンのハードディスク、クラウドのデータ等の整理、②ブログ、Facebook、Instagram、Twitterの記事の削除、③ウェブサイトの会員登録の削除、④サブスクリプションの解約などである。

④のサブスクリプションは最近の流行だが、高齢者はサブスクリプションを避けるほうがいいと思う。
デジタル終活の対象として列挙されているのだから避けるのは当然だが、法律的には、相続人は被相続人(死んだお父さんなど)の一切の権利義務を包括的に承継するというタテマエがあり、そのため理論的にもサブスクリプションの場合は解約手続なくして債務を免れないという点に注意が必要である。

さて話は変わるが、こないだ駅前でユニセフの青い服を着た若い男性が、高齢者を呼び止めてサブスクリプションで寄附をするようすすめるのを見かけた。
最近よく見かける光景だが、それを見て私は思い出したことがあった。
そういえば数年前ママ殿と一緒に、ユニセフのチャリティーコンサートを聞きにいったなあ、、、


サントリーホール


そのコンサートはサントリーホールのブルーローズ(小ホール)で行われた。
三ツ星ベルトという中堅メーカー主催のもので、会社で集めた寄附金を日本ユニセフ協会に贈呈するにあたっての記念コンサートである。

「今日はどんな曲が聞けるのかしら♪♪」
「ママ殿、今日はサンサーンスとメンデルスゾーンですね。それから流行歌のメドレーもありますが、私は流行歌をよく知りません。」
「会社のイベントだから難しい曲はないと思うわよ。ところで、なんていう会社のコンサート??」
「主催は三ツ星ベルトです。確か東京証券取引所に上場していて、ええと、銘柄の番号は5192です。」
「三ツ星ベルト、、、三ツ星レストランなら素敵なのですけどね。」
「ママ殿、小声で!!(;´・ω・)」
「あなた、次は、三ツ星レストランに連れてってほしいわね~。」
「はいはい、承知しました、、、」

流行歌のメドレー、アグネスチャンの登場、美人声楽家たちの合唱などもあり、無料コンサートなので内容は平凡だが楽しいひと時であった。








アンコール曲の「夢をあきらめないで」「上を向いて歩こう」。
なかなかいい曲だなあ、と思った。
実は、私はクラシック好きで流行歌には疎いのである。
なので、聞きながらママ殿にいろいろ聞くと、ママ殿もジャズ好きで流行歌をよく知らない。
2人で、夢をあきらめないでは誰の歌か~と小声で話しながら歌を聞いた。

あとで調べると、この歌は、岡村孝子さんという女性歌手の歌であった。
岡村孝子、、、
岡村というと、お笑い芸人の岡村隆史しか、知らないのだが。
でも、次の「上を向いて歩こう」、これはさすがに私も知っていた。




コンサートの後、私たちは日本橋高島屋のレストラン街へ。
買い物ついでに本館8階の「天一」で食べて帰ることにした。

「ところで、さっきの上を向いて歩こうですが、これは海外ではスキヤキというタイトルなんですよ。」
「へえ、そうなの。」
「これって、水前寺清子の歌ですよね!?」
「す、水前寺清子?? 違います。上を向いて歩こうは、坂本九です。」
「ええっ、そうでしたっけ??」
「そうです。坂本九は欽ちゃんの相方で、日航機の墜落事故で死んじゃった人よ。あなたが子供の頃に。」
「ああ、それでか。」

日航機墜落事故は1985年8月12日、その後はテレビなどで水前寺清子が歌っていた記憶があって、私はてっきり、水前寺清子の持ち歌だと思っていた。

ところで、サントリーホールブルーローズ、、、このブルーローズの意味については以前の記事でも書いたとおりである(2022/02/01「The story of Blue Rose(1)サントリーホールブルーローズ」)。
一般に、男性が女性に赤い薔薇をプレゼントすればそれは愛情を意味するが、そんなことふつうは知っていると思う。
しかし、薔薇は生来的に青い色素を持たないのでブルーローズは自然界に存在せず、そこで実際には白薔薇を染色して大変な手間をかけて青薔薇を作るようだが、このようなことからブルーローズは不可能への挑戦を意味するといわれる。
また、ブルーローズの所有者は願いがかなう(夢がかなう)という言い伝えもある。
ただ、これにはまだ続きがあって、場合によってはミステリアスな何か、死や破滅を示唆することもあるという。
もちろんサントリーホールのブルーローズは良い意味の方である。

私は、お茶のおかわりを飲みながら考えた。
この2つの意味は不可分かつ併存である。
なぜなら、より大きな願い(夢)をかなえるためには、それに見合うだけの危険を冒さなくてはならないからだ。
そして、より大きな願い(夢)をかなえたい人は、「夢をあきらめないで」「上をむいて歩こう」、じっとして下を向いていては、大きな願い(夢)など、かなうはずがないからである。