2020/11/06

リトルジャパン、リトルガール

最近、不動産会社の部長FさんとZOOMで話す機会があった。
以前からの知り合いで、ブログにもすでに2度登場している方なのだが、新型コロナウィルスの外出自粛で長い間対面しておらず、最近どうですか、という話から始まった。
国土交通省の空き家対策事業も手がけており、その展望を教えてもらったが、地方創生のためには不動産の利活用は不可欠である。
新型コロナウィルスが収束したらお酒でも飲みましょう、どこかおすすめは??という話になり、私は浅草橋の「リトルジャパン」という店を教えた。


東京浅草橋のリトルジャパンの銭湯


東京浅草橋のリトルジャパンの銭湯


「リトルジャパン」は浅草橋駅近くの路地にある外国人観光客向けの簡易宿泊施設兼カフェバーである。
ずいぶん前、私はFacebookの記事を見て1階のカフェバーにライブを聞きに行ったことがある。
2階が宿泊所、1階がカフェバー、ラウンジ、銭湯。
農水省のキャリア官僚の方が、役所を辞めて開設した施設である。
起業家の賞をいくつか受賞しており、窓際に楯やトロフィーが飾られている。
今夜は不在だが、壁かけ写真のなかにその人の姿があった。
下町の気さくなおじさん、という感じがした。


東京浅草橋のリトルジャパン


東京浅草橋のリトルジャパンの銭湯


リトルジャパンのカフェバーでは、不定期で様々なイベントが行われる。
今夜は、30才前後の女性シンガーCさんの弾き語りのライブである。
Cさんはカウンター席の高い椅子に腰かけ、クラシックギターをさげて沖縄の素朴な島唄のようなもの(??)を歌った。
私は静かに特製カレーライスを食べながら聞き入った。
ただ、好みの問題ではあるが、歌詞が何となく地味で私には物足りなかった。
テーブルの反対側に、Cさんの友達で小柄な女性(Aさん)が座っていて、私は彼女と話した。
Aさんは最近OLを辞め、薬膳料理の先生とヨガの先生のWワークをしているという。




Cさんの弾き語りが終わった。
すると、Aさんが立ち上がり、休憩時間はヨガでリフレッシュしましょう、などと言い出した。
こっちは食べたばかりなのに、全員でヨガをする展開となって、背中を反らせたりしながら、こんな狭い場所で、と私は思った。
その後は居合わせた何人かと連絡先を交換して解散となったが、私はAさんとFacebookのメッセンジャーで話すようになった。
薬膳料理の店は日本橋にあるという。
それなら何かの用事のついでに食べに行くと約束した。


日本橋の薬膳料理レストラン


その日は雨で、買い物帰りに立ち寄ったが、Aさんの店は日本橋駅から徒歩で約10分の路地にあった。
料理屋の店構えではなく、イベントスペースの建物の一部を借りていた。
イベントがない日には、オーナーから飲食スペースを安く借り受けることができるため、不定期で営業し、薬膳料理を提供しているとのことだった。
イベントスペースなので中は広々としており、雨のせいで冷え込んでいた。
ランチタイムが終わり、私の入店後しばらくすると、最後の男性客が出ていった。
遠くの厨房にAさん、テーブル席に私、距離は遠いがいきなり二人きりとなった。
私は日本橋のガイドブックとチラシを読み、注文した料理を待った。


日本橋の薬膳料理


10分ほどたち、彼女が薬膳料理のランチセットを運んできた。
800円ほどのランチセットは、どんぶりに野菜の味噌汁がついており、シンプルな家庭料理の味で、なかなかおいしかった。
私はテーブル席で彼女と話しながら食べた。

「薬膳料理は、ヘルシーでおいしいなあ。」
「ありがとうございます。」
「また食べに来てもいいですか。」
「あの~、ごめんなさい、、、」
「えっ、どうして??」
「実は、今日で閉店なんです。」
「まさか。」
「オーナーがここを売っちゃったんです。いまは高く売れるみたいで。」
「あ~、そうか。東京オリンピック前だから確かに売り時だ。」
「ですよね。更地にして、別の人が新しく何か建てるみたいですよ。」
「それは残念ですね。どこかにまたお店を出したら、ぜひ、私にも連絡してほしいな。」
「はい、必ずご連絡します。」

不思議なめぐりあわせだった。
私はAさんの薬膳料理のお店に初めて行き、最後のお客さんとなったのだった。