2019/09/07

わたしのワインの先生(1)楽しい授業をする先生

今日は夕方にワイン教室があり、早めに家を出て美術館に寄り道をした。
上野の東京都美術館~水天宮前のミュゼヤマサ浜口陽三ミュージアムである。
東京都美術館にはお昼過ぎに着いたが、大混雑の企画展を避け、手前のスカスカの展示会を選んで入場した。
こちらの方が入館料が安くて行列に並ぶ必要もないので気軽なのである。
ただ、株式市場でもそうなのだが、価格というのは正直である。
展示会の入館料が安ければつまらない、というのがお約束であり、期待せずに入ったのだが、、、


東京都美術館伊庭靖子展示会


今日は「伊庭靖子展」。
伊庭靖子はユニクロの商品デザイナーと書いてある。
あのユニクロにも商品デザイナーがいるのか、と思ったが、確かに展示されている彼女の作品には、ユニクロのフレッシュなシャツの質感と匂いが感じられた。
真夏の暑い日は、こういう絵を見ると涼しい気分になる。
しかし、それ以上の何かが感じられる作品ではなかった。
価格も価格なので、こんなもんかな、と思って、私はスカスカの会場を出た。
帰る時に出入口でユニクロのロゴの書かれた案内板を目にしたが、ユニクロは今後どのように自身のブランド価値を上げていくのだろう。

上野から三越前を経由して水天宮前へ。
ロイヤルパークホテル前に出て、大通りの横断歩道を渡ると、ガード下の脇道に小さなギャラリーがある。
ここがミュゼヤマサ浜口陽三ミュージアムである。
さて、ミュゼヤマサ浜口陽三美術館とは、どういうことなのだろう、と思う人がいるかもしれない。
浜口陽三は有名な版画家なのだが、ヤマサ醤油の御曹司なのだ。
そして、奥さんの南けいこもまた有名な版画家で、南けいこの企画展もここでは年1回程度開催している。
今日は「真夏のさくらんぼは闇に輝く」という企画展であった。
浜口陽三は「さくらんぼ」を題材にして生涯多くの版画を作っている。


ミュゼヤマサ浜口陽三美術館さくらんぼの展示


ミュゼヤマサ浜口陽三美術館さくらんぼの展示


いちごでもトマトでもなく、タネがあって食べにくいさくらんぼ??
まあ、それを選ぶのは浜口氏の好みだが、確かにそのセンス、私も分かるような気がする。
いちごは歪んだ形をしており、表面にはブツブツもあって気持ちが悪い。
トマトにはさくらんぼのような上品さがなく、食べるときはただのカット野菜でかわいげがない。
しかし、さくらんぼはきれいな形をしていて、表面もきれいだし、上品でかわいらしい、何となくこれが最も女性的で、セクシーだと思うのである。
彼はメゾチント法と呼ばれる珍しい技法を用いた。
さくらんぼの果実の部分のきれいな赤と、背景の黒が見事にコントラストされているが、このメゾチント法は当時廃れていた手法で、浜口など数人が現代版画界にカラーで復刻させたものである。
メゾチントでさくらんぼのきれいな赤を表現するのは非常に難しい技術なのだという。
4月にここで版画のワークショップがあり、私はそれに参加してプロの版画家(江本創先生)から教わったが、その時は白黒の版画を作った。

夕方、ワイン教室へ。
早めに着いたので、教室に私ひとりで待っていると、T先生が入ってきた。

「先生、こんにちは。」
「あら、こんにちは。今日は早いじゃない。」
「ええ、今日は早く来ちゃいましたね。」
「もうすぐ試験よ。ちゃんと勉強してる??」
「ぼちぼちです。今日は前期の最終講義だから、終わった後どこかで飲み会ですか??」
「そうだけど、真っすぐ帰って勉強したら??」
「いや、大丈夫です。」
「そう。今日は表参道の「ヴァンヴィアンドアオシマ」です。」
「知らないなあ。」
「この辺りでは、なかなかのお店よ。」




ああ、そういえば、私はこのブログでT先生のことをほとんど書いたことがなかったなあ。
では今回少し書いておこう。
まず、ワインの先生というと、気取っている、お高くとまっている、難しい話をする、というイメージで見られがちである。
実際、ワイン友達の話を聞くと、なかにはそういう先生もいるようである。
しかし、先生は気さくな庶民派である。
また、私が知っているワインの先生の中で、最も「楽しい授業」をする先生なのである。
先生の授業を受けていると、いつも私は楽しくてしょうがない。
やはり、ワイン講座は楽しくなくては!!と私は思うので、先生が担当するWSET3の講座を選んだのだった。
しかし、まあ、かなりの美人でもあるので、先生を独占したい常連の男性ファンたちのため、先生の話はこれくらいにしておこう。


ヴァンビアンドアオシマ


ヴァンビアンドアオシマ