2025/12/09

You are beautiful, but I am busy.

 


最近の私は、水戸方面に行く機会が増えている。
その代わり、都内に行く機会が減っている。

11月下旬、この日も朝早く、常磐線の特急に乗り、水戸駅に着いた。
これから水郡線というローカル線に乗って山間の町に行くのだ。
しかし、電車の本数が少なく、発車まで、まだ30分以上、時間がある。

私は、いったん、水戸駅の改札を出た。
ひと休みしようと、駅ビルの中のSAZAコーヒーをのぞいた。
大きな窓の奥には、店員の人影が見えるが、JRの駅ビルは10時開店である。

ゆっくりコーヒーを飲めるのは、帰りだな、、、




私は、SAZAコーヒーのテラス席で書類を整理して、開店を待った。
そして、10時開店と同時に入店し、お惣菜店で弁当を買い、水郡線に乗り込んだ。
早めのランチは、資料を読みながら、電車内で済ませた。

お昼過ぎに用事が終わり、帰りは水戸駅で下車して、今度は別の用事を済ませた。
SAZAコーヒーに入店したのは、夕方、暗くなってからだった。

私は、レジで、いつもの女性店員に、クリスマスブレンドを頼んだ。
こないだは、勝田の本店で、ゴルダという風変わりな味と香りの銘柄を飲んだ。
それに比べると、彼女の運んできたブレンドコーヒーは、無難な味と香りで、普通だった。

が、私は、このコーヒーを飲んで、心が落ち着き、非常においしいと感じた。





私は、ブレンドコーヒーを飲みながら考えた。

まあ、何と言うか、世の中的には、ブレンドコーヒーみたいな人間であることが非常に大事だな。
学校では、多様性や個性の尊重などと教えるが、実社会では、なかなか難しい話だ。
やはり、普通かどうかという物差しで評価されるのが、世の中の基本的なあり方である。

私自身も、正直、普通だということが心が落ち着く理由であったり、良かったと思う理由であったりすることがある。
そういうことなら、個性的な美人アーティストよりも、普通っぽい喫茶店の美人店員の方が良いとか、水戸エクセルのSAZAコーヒーのメニュー表に、ゴルダとあっても、私は次回も彼女に、普通のコーヒーを頼むとか、そっちが妥当な解のような気がしてきた。




翌日、私は、AMEXの異業種交流会に出るため、品川の天王洲アイルに向かった。
渋谷方面で用事があり、行きは、浜松町でモノレールに乗り換えて行った。

天王洲アイルは、場所的には品川の東側のベイエリアになる。
このあたりはもともと倉庫街で、天王洲アイルが拠点の寺田倉庫がよく知られている。
倉庫内は、イベントスペースとしても使われており、現代アートの展示会などが開催されることもある。

大通りを歩くと、早速、AMEXの青い案内板を見つけた。
その手前に、赤字で「OF ART」と書かれたギャラリーの道案内があった。





脇道に入るとイベント会場の入口があり、路上に黒服の男性が数人立っているのが見える。
このまま真っすぐ行くと「WHAT MUSEUM」というギャラリーの正面入口がある。
ギャラリーの営業は5時までで、まだ開いている。

私は、個展の案内の大きな看板を眺めた。

個展名「きみはうつくしい(You Are Beautiful)」とある。
なるほど、、、(*'ω'*)
しかし、わたしは忙しいので、また今度にしよう。

これまでの私なら、ふらりとギャラリーに入ったが、最近、そうではなくなっている。
イベントが始まるまで、30分ほどあったが、私は脇道の方に歩き、裏口からエレベーターに乗った。
私が乗ったのは、美術品や舞台道具を運べる大掛かりな業務用エレベーターであった。
私は、エレベーターの内装がアーティスティックであることが、ちょっと気になっただけだった。








異業種交流会では、いろいろな人と話した。
30歳前後のアーティストっぽい女性を見かけたので、私から声をかけた。
話をすると、彼女は、やはり、アーティストだった。
本業は会社員で、アーティストは副業だという。

副業で、アーティストねえ、、、それなら普通の人だな(*'ω'*)

私は、彼女のインスタグラムのアカウントを教えてもらい、後日フォローしたが、彼女は会社で給料をもらい、アーティストとしての売上も少しあるようだ。
だからこうして、AMEXのカード会員として交流会に出て来られるのだろう。




イベントが終わったのは夜8時近く。
私は、大通りのバス停から都バスに乗り、品川駅へ。
エキュート品川の一角で、ジュエリーデザイナーのMさんが、クリスマス前の展示即売会をしているというので、電車に乗る前に、のぞいてみた。

私は、久しぶりに、Mさんと会った。
話を聞くと、固定客がいるので、商売はそこそこ順調のようだ。
しかし、「結構、商売繁盛してるんでしょう?」と聞くと、「この手の商売は水物で、いい時と比べると良くない」と言われてしまった。
私は肩をすくめ、「そうなんですね、、、」と答えた。

ただ、私は売場に入るとき、会社帰りの女性客が彼女のアクセサリーを購入していたのを見たばかりだ。
私は、言葉とは裏腹に、かなり売れているのでは、とも思った。
私は、「今後もジュエリーデザイナーを続けていくんですよね?」と聞いてみた。
すると、彼女は悩ましい表情をして、こう言った。

「私、この仕事、向いてないんですよ」
「まさか。こんなに長くやっていて、今さら、向いてないってことはないでしょう(笑)」
「いいえ、向いてません。それに、私、もう32才だし、そろそろフツーがいいんですよね」
「はあ、フツーがいいんですか。なるほど、、、じゃあ、さっきAMEXの交流会で、おにぎりを持ち帰ってきたので、この牛カルビおにぎり、あげますよ」
「あら、立ち仕事でお腹がすいているので、ちょうどよかった。いただきます。4ついただいてもいいかしら?」
「いえ、2つは私が帰りの電車内で食べるので、あなたにあげられるのは、2つです」
「電車内で食べるの?」
「品川始発のグリーン車に乗るので。あ、そろそろ電車の時間だから、帰りますね」

まもなく、品川発の上野東京ラインが発車する時間になるので、私は別れを告げ、その場をあとにした。
彼女は現在も独身だが、実家の両親や祖父母は厳格なタイプで、彼女自身も実は保守的なタイプに属するといっていた。

そんな話、私は初めて聞いたなあ。
CLAP YOUR CHRISTMASかあ、、、(*'ω'*)
1年なんてあっという間だ。