2018/12/08

Seekers should master technical analysis(Alfred Cortot Rational Principles of Pianoforte Technique)

今日はピアノの楽譜の話である。
私は小学1年生の時から趣味でピアノを習っていたので、今日はそのネタを書こうと思う。
まあ、そういう経歴の人がピアノが上手とは限らないと思うが、好きこそものの上手なれ、と言われるように、好きな曲なら練習もするので、ある程度上達する。
しかし、クラシックピアノの場合は教本の順番が決まっていたり、ピアノ教師が生徒の演奏力に応じて選曲するため、好きでもない曲に取り組むことも多くあり、不真面目な生徒になる者も多いだろう。

私はある時、先生からクレメンティーとコルトーの練習曲をすすめられた。
クレメンティーも重要ですが、コルトーメソッドで指の練習を繰り返せば、不真面目な生徒のあなたですら、驚くほどうまくなります、と言われた。
アルフレッドコルトーとは、1900年代前半のフランスの高名なピアニストで、ピアノのテクニックの神様ともいうべき人である。





いまは、日本語のコルトーメソッド(アルフレッドコルトーのピアノメソッド)がインターネット通販で簡単に手に入る。
しかし、当時は原語版しかなく、楽器店でも手に入らない貴重な代物だった。
私はクレメンティーの練習曲(通称「クレメンティ29の練習曲」)を輸入楽器店で取り寄せたが、コルトーメソッドは手に入らないというので、古びた原語版を先生から無期限で借りることにした。
しかし、持ち帰って実際に家で弾いてみると、ハノンよりも機械的で寒々しい楽譜で、あまりにも退屈極まりなかった。
これに対し、クレメンティーの練習曲は音楽としても「まあまあ」のもので、弾く楽しみもあった。
そういうわけで結局、私の練習曲はクレメンティーだけとなったのだった。


クレメンティ


その後、先生も私もコルトーの楽譜のことはすっかり忘れた。
先生が遠方へ転居し、その後、私も転居することになった。
その時、引っ越しの準備で本棚を整理していたら、原語版のコルトーメソッドの本(Alfred Cortot Rational Principles of Pianoforte Technique)が書棚の片隅から出てきた。


アルフレッドコルトーのピアノメソッド


先生とは長い間連絡を取っておらず、私は、今さら返すのもなんだよなあ、と思った。
でもせっかくだから、というか、何となくうしろめたくなり、この楽譜をもう一度弾いてみることにした。
私は、コルトーメソッドの本を立て、ピアノの前に座った。
第1章から弾き始めると、やっぱり退屈だったが、今回は簡単に諦めないで弾いた。
1日30分、1日30分~こうして私とコルトーメソッドの付き合いが始まり、趣味で弾く私には困難なところも多かったのだが、ピアノの楽譜というのは実によくできている。
私でもギリギリ弾けるようにうまく書かれているのだ。
なので、努力しても弾けない、歯が立たないということは、ほぼなかった。

さて、コルトーメソッドの効果だが、かつて先生が私に言っていたことは本当だった。
このメソッドで指の練習を繰り返したおかげで、私はずいぶん上達したと思う。
スポーツ選手にたとえると、基礎練習で筋力や柔軟性が上がるようなものか。
難しいパッセージもリラックスして弾けるようになった。
そのうち私はメソッドを自分なりにアレンジし、練習用の楽譜を書いてみたりもしたが、その楽譜はもうどこかにいってしまった。
そういうわけで、私はコルトーメソッドのおかげで、テクニックの奥深さと重要性、必要性を知ることとなった。
これは私の人生において、素晴らしい体験である。

指の独立をテーマとした第1章。
第2章はスケールとアルペジオ。
第3章は重音。
第4章と第5章が和音、オクターブ、跳躍、その他のテクニック。


アルフレッドコルトーのピアノメソッド