2023/11/01

本当に「果報は寝て待て」になった私

私は10月20日頃から風邪を引いている。
寝ていても良くならず、本当に「果報は寝て待て」の人になっている。

以下、2023/10/14「好きな人と気になる人のちがいは?(2)」より。

初校ゲラを全て編集者に戻すと、編集者は私の校閲を反映させた修正版を作り、それをデザイナーに再入稿し、デザイナーが再修正したものが編集者を通じ、私のところに戻ってくる。
これが再校ゲラである。
私が再校ゲラを校閲すると内容は確定する。

私は先週から再校ゲラを見ていたが、ようやく全校閲が終わり、編集者に戻した。
私は、いわゆる「修羅場」(少女漫画家の大島弓子的な言い回し!?)からほぼ解放された。
あとは本が出るのを待つばかりである。

ただ、解放とは名ばかりで、本音をいうとまったく気楽ではない。
私は、本番前に舞台袖で待つ演奏家や俳優のような緊張感で、本が出るのをじっと待っているのである。
今さらジタバタしてもしょうがないので、「果報は寝て待て」というのだろう。
もう書いて出してしまったのだから、なるようにしかならないのだし、受験生が、提出した答案のことを考えたってしょうがないのと同じだ。




手元に早慶戦のチケットがある。
10月29日はあいにくの雨と寒さもあり、使わないままとなった。
病院で看護師から、「季節の変わり目に弱いですね」と言われた。
春は花粉症もあるのでダブルパンチだが、秋はそれほどでもないとはいえ、今年はずいぶんひどいことになった。
大事をとり、旅行を中止したのに、その後、咳がひどくなり、声がかれてしまった。
しかし、世間では咳止め薬が不足しているとのこと。
私は3件目の調剤薬局で手に入れた咳止め薬を大事に飲み、ベッドでおとなしく寝て過ごした。
とにかく、果報は寝て待て、である。

予定は全てキャンセルした。
著者の私は何冊かの見本を編集部から送ってもらえるが、それが31日に届き、私の寝ているベッドの横でママ殿があけて見て、喜んでいた。
私はハロウィンパーティーにはいかず、いただきもののハロウィンのお菓子を食べながら、できあがった本をぱらっと読んでみた。
まあまあのデキだ、と思った。




何年かぶりに、ママ殿の作ったおかゆを食べた。
おかゆに手作りの梅干し、おかかが付いている。
風邪を引いたときの我が家の定番である。
私はおかゆを食べながら、ご機嫌なママ殿にこういった。

「ママ殿、喜び過ぎないでください」
「どうして?」
「私の本は商業出版です。だから、売れてナンボです」
「商業出版?」
「そう。自費出版で本を出す人は、売れる見込みって、それほどないわけです。売れる見込みがあれば、出版社が依頼をしてきて、ふつうは自費出版になりません」
「そうね」
「自費出版の場合は、著者が出版社に本を作ってもらう。お客さんは著者なのです。出版社も著者も、本が売れなくてもかまわない。しかし、商業出版の場合は、お客さんは読者です。私も出版社も、読者に受け入れられなければ失敗です。だから、本ができあがっても、私は売れるかどうか、そこが心配なのです」
「おしゃれな本だし、会話があって、分かりやすいし、そこそこ売れると思うわ」
「そうなるといいんですけど・・・」