2022/03/21

ああ、そうか、大好きな彼女(彼)にも、自分の弱みや失敗談を話す方が、かえってうまくいきやすいのだ

先日、久しぶりに取手駅前のビストロキャトルにいってきた。
顔見知りの経営コンサルタントのUさん、パティシエのNさんと飲むためである。
Nさんは最近退職して自分の洋菓子店をオープンするため、日々奮闘中の起業家である。
実は去年秋、地元商工会でUさんの起業家向けの勉強会があり、私は指導者側のひとりとして参加したのだった。
つまり、このゼミの先生がUさん、生徒がNさん、立ち位置が何だかよく分からないがコーチングスタッフ(??)として参加したのが私である。


ビストロキャトル


シーザーサラダ、ビストロキャトル


もともとUさんと私は、2020年3月のワインバー開業の件でたまたま知り合った。
華やかな肩書のわりに失敗談ばかり話すUさんはもうすぐ70歳。
この年齢だと、他人に成功談と説教(指導助言という名の説教)をして偉そうにふるまう人が多いが、Uさんはそういうタイプではなく聞き上手で、話もなかなかおもしろい。
この日の話題は主に、Nさんの洋菓子店の経営戦略のこと。
それぞれの近況についても話したが、Uさんの話はまた失敗談ばかりだった。
例えば、最近新しく開設したオフィスが、ふたを開けてみたら風俗店のすぐそばでマイった、という話。

う~ん、でもどうして、Uさんはこんなに失敗談ばかり話すのだろう。
成功談を話すと自慢話に聞こえるし、お酒の席には失敗談が似合うとは思うのだけど、よっし~(私が付けたUさんのあだ名、本名は吉田雅紀さん)の失敗談には何か秘密があるに違いないのだ。

ああ、そうか、分かったぞ。
たぶん、こういうことなのだと思う。

私たちは相手のことを知りたいとき、相手と親しくなりたいとき、むずかしいコミュニケーションを試みたり、いろいろ想像をめぐらせたり悩んだりする。
しかし、実はそんなことは不要で、思い切って自分の弱みや失敗談を話してしまうのがいいのだ。
そうすれば相手も同じようなことを話しやすく、関係が一気に深まったり、親近感を持ってもらえたりする。
また、もしここで距離を置かれたり、軽蔑されたりしたら、その相手とはむしろ仲良くしない方が賢明だ。
つまり、弱みや失敗談を語ると相手と自分の関係を的確に見極めることができる、相手の人間性もかなり見通せるのである。

よっし~の場合、例えば顧問先の社長が、最近事業がうまくいっていないんだよね、と切り出しやすいわけだ。
ほかにも上司と部下、親子、あるいは大好きな彼女(彼)とのことだって同じように考えられる。

ああ、そうか。
大好きな彼女(彼)にも、自分の弱みや失敗談を話す方が、かえってうまくいきやすいのだ。
そうに違いない。
いや、待てよ。
欠点のない人間のほうがいいに決まっているから、単に嫌われておしまい、というオチのほうが自然な気もする。
果たしてどうなんだろう。

おお、そうだ!!
分からないときは実験してみれば分かるのだ。
自分の大好きな彼女(彼)に、弱みや失敗談を話して、どういうリアクションか見てみればいいではないか。


取手商工会


さて、去年秋の取手商工会の起業家ゼミをふりかえろう。
これってなかなかの人気講座のようである。
コロナ禍にも関わらず、受講生は総勢30名近く集まった。
これだけの人数だとUさん1人では面倒を見切れないため、私を含め5名の有志(野次馬)がコーチとして参加した。
テーブルごとに分かれて私たちは、グループディスカッションを仕切ったり、事業アイディアに対する講評を述べたり、様々な質問に答えたりした。
その中でも、受講生との交流は最も楽しかった。
 
受講生は十人十色、あるいは老若男女という言葉が相応しく、ウェブデザイナー、リサイクルショップ、語学教室、リハビリ、ケーキ屋など、様々な事業を企画していた。
しかし、1人ずつ事業計画を発表していくと、最近の流行なのか、カフェを開業したい、という人が4人もいた。
いずれも飲食店や接客業の未経験者のようだった。
ところが、受講生の中に元スタバの店員の女性がいて、彼女もカフェを開業するのかと思ったら、彼女はスターバックスを辞めて士業事務所を開業したという。

ああ、なるほど、、、
スタバで長く働いていた彼女は、カフェを開業したくないのか。

と私は思った。
彼女の職業選択が、カフェビジネスの現実と未来を暗示しているようだ。


アーモンドケーキ


この講座、受講生の年代は老若男女で、下は20才そこそこの学生、上は年金暮らしの70代の高齢者もいた。
高齢の受講生は生涯学習が目的で、具体的にこの商売をしたいというわけではないようだった。
私の隣で、受講生のおじいさんが、この年で独り暮らしだから家でじっとしていると認知症や要介護者になってしまうから来ている、といっていた。
まあ、何というか、茨城の片田舎の起業家ゼミならではの、のどかなエピソードではある。
ただそれでも、公民館の教室を借り、「フレイル」をターゲットとして、フィットネスクラブを開業したいとか、もうほとんど起業家に近い積極的な発言をする受講生のおばあちゃんもいた。
このおばあちゃん、もしかして、自分も鍛えたいから開業するのかな、、、
だがそれより、フレイルって何だっけ??と私は思った。

「あのう、Wさん、フレイルって最近よく聞く言葉ですけど、何でしたっけねえ??」
「先生、フレイルとは要介護前の老人のことです。弱っているけど運動すればまた動けるようになる感じです。」
「ああ、そうでしたか。新しい言葉をよくご存知で。おばあちゃんの口から突然横文字が飛び出して、すごいと思いました。」
「まあ、あたしも他人事ではないのでね。」

とまあ、こんな感じで、私は、受講生のおばあちゃんから最近の流行語を教えられたのであるが、つくづく思うが、教えるとは教えられることでもある。