2019/11/04

水野里奈さんの細密画(2)

今日は、地下鉄で延々と東京をまたいで、世田谷と横浜の美術館まで行ってきた。
世田谷の静嘉堂美術館では、曜変天目(ようへんてんもく)という貴重な茶碗が見られるというので、それを一目見たかった。
そのついでに田園都市線であざみ野まで足を伸ばし、現代美術家の水野里奈さんの展示会を見てきた。
また、彼女のアーティストトークを聞き、彼女に話しかけてサインをもらおうと思っていたが、それはうまくいかなかった。

静嘉堂文庫美術館→アートフォーラムあざみ野

まず、二子玉川の静嘉堂文庫美術館である。
ここは、三菱の美術館なのである。
旧岩崎邸と同じく、山全体が庭園になっており、山の上にお屋敷(美術館)がある。
住宅街の路地でバスをおり、木立に囲まれたのどかな坂道を10分ほど上がると、山上の美術館に辿り着いた。






静嘉堂文庫美術館「曜変天目」展示会


いくつかの建物があり、最も大きな建物が静嘉堂美術館。
しかし、歩かされたわりに、また、大きな建物のわりに、美術館の展示スペースは意外と小さかった。
私は30分ほどで全ての展示を見終えた。
まあ、曜変天目は見事な茶碗だったので、30分でも来たかいがあったと思う。

私は、予定よりだいぶ早く、美術館を出た。
館外には、ぐるっと回れる散歩道があり、私はそこをぐるっと散歩した。
見晴台から街を見下ろし、11月の冷たい秋風でしばらく涼み、簡単な登山の気分を味わってから山をおりた。
帰りのバスに乗り、二子玉川駅に着いたのはお昼すぎであった。
二子玉川駅の周囲は東急が整備して、きれいになっている。
それなのに、バス停の前の玉川高島屋だけは、私が学生時代の時のまま、かなり老朽化が進んでいた。
駅前のそのような明暗の対比、何ともいえない時代の流れを感じる。

二子玉川駅へ。
私は田園都市線の高架のホームへ上がった。
すると、線路の向こうに多摩川を見渡せるのだが、10月の歴史的な台風で決壊したばかりで河川敷はひどい状況であった。


2019年10月の大型台風後の二子玉川駅


到着のアナウンスが流れ、まもなく無惨な多摩川は電車で見えなくなった。
私はその電車で、あざみ野に向かったが、田園都市線に乗るのは本当に久しぶりだった。
しかし、二子玉川駅はきれいだったが、どうも、この車両は狭いし古くさい。
30年以上前、田園都市線はおしゃれな都会の電車だったのに、今はずいぶんダサく感じるのだ。
車両のクオリティーが示唆するように、昔は私鉄の時代だった。
しかし、今は明らかに、JRの時代なのである。

30分ほどであざみ野駅に到着。
見知らぬ駅前に降り立った私は、国道246号線の方へ歩いた。


アートフォーラムあざみ野


広い坂道を下り、カーディーラーの先の左側に、アートフォーラムあざみ野があった。
新しい建物だなあ、、、どうも、市民文化センターのようである。
ペットボトルと弁当箱を捨てたいのに、中に入るとゴミ箱がまったくない。
こういうのは本当に不便。
私は仕方なくロッカーに、かばんとごみも一緒に入れて、ギャラリーの受付へ行った。
私はそこで手続を済ませ、広い部屋に入った。

水野里奈さんの作品を、私は真夏の銀座のポーラミュージアムアネックスで初めて見た。
彼女の画風が珍しく、私は思わずじっくり見ていた。
その時、ギャラリーにちょうど本人がいたのだ。
彼女は私を美術関係者と思って話しかけてきたようだった。
雑談のなかで、彼女が11月のあざみ野の展示会のことを教えてくれた。
私はメールアドレスを教え、彼女は詳しいことが決まったらメールします、と言ったのだが、10月になっても彼女からメールは届かず、私は詳しいことをウェブサイトで調べ、今日こうしてはるばる見にきているのであった。
彼女のアーティストトークは10月の予定だったが、10月は例の大型台風で延期となり、私のスケジュール(11月4日)と偶然の一致、あるいは運命の一致(!?)を果たしていた。
そういうわけで、私は展示作品を見終わった後も、彼女のトークイベントを聞かずには帰れなかった。


アートフォーラムあざみ野の水野里奈の展示作品


アートフォーラムあざみ野の水野里奈の展示作品


夕方、2階の広い会議室で彼女のトークイベントが始まった。
用意された椅子の数に対し、参加者は少数精鋭であった。
どうも水野さんの知り合いがほとんどのようだ。
まあ、そりゃ、彼女はそれほどの売れっ子じゃないんだし、こんな横浜の辺鄙な場所の展示会では人も集まりにくいだろう。
トークイベントは1時間ほど、主に水野さんと学芸員の男性の対話形式で進行し、最後は参加者の質問コーナーで締めくくられた。
プロジェクターで美大生時代の絵も紹介された。
また、彼女は大きな壁画も描くという。
私は、次は彼女の壁画を見たい、と思った。

イベントは無事終了。
帰る前にひと言、彼女に声をかけようと思った。
サインをもらうため、サイン用のスケッチブックも持参していた。
しかし、彼女はお友達にあっという間に囲まれてしまった。
彼女は人気者のようだ。
私は荷物を片付けながらその様子をしばらく見ていたが、彼女はかつての友達に出会ったようで、とても楽しそうに笑っていたので、そのまま帰ることにした。


水野里奈アーティストトーク