先週末、私はアーティゾン美術館に行ってきた。
アーティゾン美術館とは、去年リニューアルされたばかりのブリヂストン美術館のことである。
素晴らしいコレクションを展示しており、原則としてカメラ撮影もできる。
私は、WSET3の試験の合格祝いで、Aさんと一緒に行ったのだが、展示室で作品を見ている間ほとんど別行動をしていた。
その方が、お互い見たい絵をじっくり見られるからだ。
先に見終わったAさんから、私のスマホにラインが入った。
展示室出口のラウンジで待っているという。
私は最後の展示室のアンリマティスのコレクションを見て、彼女より10分ばかり遅れてラウンジに出た。
彼女は高級そうな石のベンチに座っていた。
帰ろうかと思ったが、私は窓際に最後の作品があることに気付いた。
「Aさん、あの彫刻はもう見た?」
「見たよ。」
「ちょっと自分も見てきます。」
「どうぞ。」
最後の作品は、クリスチャンダニエルラウホ「勝利の女神」。
私は、ふと思い立ってAさんに声をかけた。
「ちょっとこっちに来て。」
「めんどくさい~。」
「勝利の女神なんて、合格記念にうってつけじゃないですか。記念写真を撮ってから帰りましょうよ。」
「まあ、いいけど、、、」
私たちは通りかかりの若い男性に頼んで、勝利の女神の前で記念写真をとってもらった。
その後、銀座に行き、ラーメン屋「篝(かがり)」のカウンター席でお昼を食べた。
こないだ食べたときは、さっぱりした醤油味であったが、今回はこってりした醤油味。
昼食後、Aさんは勉強会の予定があり、私は翌日講義が控えているので、私たちは銀座駅で別れたのだった。
ちなみに、Aさんは都内の小さなワイン輸入会社のインポートマネージャーをしている。
ふだんから買付けでヨーロッパ各国を回ったりして多忙だが、非常に勉強熱心な女性で、この日は政治経済の勉強会に出るといっていた。
役員は全員男性。
彼女は役員ではないが、もし彼女がいなければこの会社はワインの輸入も手続もまともにできない。
というわけで、この小柄でかわいらしいAさんこそが、実質的には会社の大黒柱なのである。