ある日の日本橋高島屋、つばめグリル。
「ハンバーグは、やっぱり、おいしいわ~♪」
「ハンバーグは、ママ殿の大好物ですからね。そういえば、先日うちに来た不審者のことを教えてください」
「不審者・・・ああ、その話ね。6月の、あなたが理事会で不在の日でした。午後1時30分頃、玄関をあけると、30才前後の怪しい男性が、リュックサックを背負って、立っていました。名札をぶら下げていたけど、字が小さくて見えなかったわ」
「名札・・・その男、どこかの営業マンですよね?」
「そう、最初は、ガスの乗り換えの勧誘でした。でも、途中から、家のことをいろいろ聞き出そうとするのよ。しつこくて、気持ち悪かったわ。ぴしゃりと言ったら、すみませんといって帰ったけど」
「もしかしたら、リサーチ会社の業務委託かもしれないな」
「調査員とか? たぶん、違うと思うけど」
「あるいは、家のことをいろいろ聞いてきたのであれば、悪徳リフォーム工事会社の訪問営業かもしれません」
「リフォーム詐欺ね! それは、あり得るわ」
「どうして?」
「彼は、その後、お隣さんの家の敷地も、堂々と、のぞき込んでいましたよ。うちがダメだから、次は、他の家を狙ったんじゃない? 明らかな不審者なので、警察に電話しようかと思ったくらいです」
問題の男は、その翌日から3日連続、うちの近所で目撃された。
ご近所の家に確認すると、うちにもガスの乗り換えの勧誘が来た、といっていた。
私は、市役所にいくとき、近くの路地で偶然、それらしき男を見かけたことがある。
スマホで誰かと連絡を取り合いながら歩いており、仕事中のように見えた。
私は、彼をそこまで怪しい人物とは思わなかったが、今のご時世、不審者には注意が必要だ。
「ママ殿、防犯対策のグッドアイディアが思い浮かびました(*'ω'*)!!」
「どんな?」
「犬を飼うのです(*'ω'*)」」」
「い、いぬ!?」
「そうです。ママ殿は、料理好きで、犬好きです。どうでしょう?」
「そうね、しばらく考えておきます。あなたは気が向いたときだけかわいがるから、毎日の散歩と世話をするのは私です。その負担を考えると、すぐ決められません」
「な、なるほど、、、料理好きで、犬好きでも・・・毎日は大変ですよね」
「そうです。1年365日」
「ウーン、料理好きで、犬好きか・・・そういえば、最近、姪っ子の犬、うちに来ないなあ(*'ω'*)」