2022/09/11

I'm giving mom a private lesson at night

講演会控室


9月は2度、講演の依頼をいただいている。
いずれも法律に関する講演会で、この間3週間ほど出番がなく、十分時間の余裕がある。
私は最近、終活講座をすることが多いが、高齢者にも分かりやすい講演とはどのようなものか考えている。
それは、受験予備校の講義や、若者向けの講演とは違うもののはずだ。

そうだ!!
あんみつ先生は、いただきもののおやつのフィナンシェを食べながら、ふと、こんなことを思い付いた。


洋菓子店アリスベル、フィナンシェ


「ママ殿、ちょっといいですか。」
「な~に??」
「これから2~3週間ほどでいいんですが、私の講義の練習台になってほしいのです。」
「あなたが先生で、私が受講生になるのかしら??」
「そうです。どうでしょうか??」
「おもしろそうじゃない♪♪ テレビは退屈なので、ちょうどいいわね。」

というわけで、最近の私は、晩ごはんを食べた後、うちのママ殿を相手にマンツーマンレッスンに挑んでいる。
資料の余りを渡したりして毎回30~40分ほどだが、テーマを決めて話す。
ママ殿は夜テレビを見るよりも私の講座を聞く方が、息子からおもしろい話が聞けると上機嫌である。

なんだか、学生時代の家庭教師のアルバイトを思い出すなあ、、、
ただ、至近距離で講義をすると気恥ずかしいので、私はダイニングテーブルでノートパソコンを見ながら話す、ママ殿は数メートル離れたソファーに座って聞いている。

ちなみに先週のテーマはこんな感じ。

(日)終活(相続と遺言)
(火)成年後見
(水)日本の年金制度と福祉制度の持続可能性
(金)インターネットトラブルの対処法
(土)インフレと金融緩和

「もっとゆっくり、はっきり喋ってほしいのよ。」
「分かってるけど、つい早くなってしまうんだよね。」
「アナウンサーみたいに上手に喋りなさいよ。」
「う~ん、、、」

ママ殿は、年を取ると誰でも耳が悪くなるから、テレビのアナウンサーのように滑舌よく話してくれないと聞き取れないというのだが、、、
しかし、時間内に終わらせなくてはいけない、言うべきことがたくさんある、そういった講師側の事情もあり、なかなか呑気に喋ってはいられない。
ただ、終活講座の受講生はほぼ高齢者だから、この指摘は非常に重要だ。
成年後見の話をしたときは、こうも言われた。

「認知症の人は何も分からないから後見制度で保護する必要がある、とあなたは言うけれども、何も分からないわけじゃないのよ。」
「まあ、そうなんだけど、、、」
「忘れちゃうということなのよ。何も分からないと言われると、年寄りは人格を否定されたように感じます。」
「な、なるほど。」

こちらに他意はないのだが、高齢者に対する配慮というのは、なかなかむずかしいものだ。
さて、今夜は何を話そう、、、
調べものをしながら考えていると、ママ殿がおやつを持って来た。


チーズケーキ


「はい、どうぞ。」
「どうも。」
「ちょっと、ニュースで見たんだけど、ECBだっけ??」
「えっ??( ゚Д゚)ECB!!! あのう、、、ECBとはヨーロッパ中央銀行のことですが、何かありましたかね??」
「ECBが金利を大幅に上げたって、さっきニュースでやってたのよ。」
「ええ、そうなの!?( ゚Д゚)」
「そうなんですよ、あんみつ先生。物価が高騰しているから、中央銀行がついに金利を上げたということね。」
「ママ殿、さすがです!!」
「そうでもないわよ。それにしても、日本銀行は何をぼさっとしているのかしら、腹が立つわ(=゚ω゚)ノ」
「・・・・ど、どうなんですかね。私はまったく知る立場ではございませんが。」