2022/05/12

あなたって本当に有名人なのぉ~??

3月のある日のことだが、夕方からヒルトン東京でパーティーがあり、私は用事を済ませてから少し遅めに出発した。
途中、京橋のギャラリー椿(門倉直子展)に寄り道をしてミッドタウン日比谷へ。
内幸町駅から都営三田線、都営大江戸線と乗り継ぎ、新宿駅に到着したのは午後3時頃だった。
ヒルトンは地下で大江戸線都庁前駅に直結しているが、その前に私はSOMPO美術館に寄りたかったので新宿西口駅でおりた。
新宿西口駅は損保ジャパン本社の目の前なのである。

シダネルとマルタン展。
リニューアルオープン後、2回目の訪問である。
入口の壁に女性の絵が大きく描かれており、通行人の目をひくが、これはアンリマルタンの「腰掛ける少女」という作品のようだ。
ええと、筒井康隆の「時をかける少女」なら知っているのだが、シダネルもマルタンもまったく知らない画家である。
チケットを買い、エレベーターで5階へ。


シダネルとマルタン展、SOMPO美術館


「19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍した画家、アンリ・ル・シダネル(1862-1939)とアンリ・マルタン(1860-1943)に焦点をあてた、国内初の展覧会です。印象派を継承しながら、新印象主義、象徴主義など同時代の表現技法を吸収して独自の画風を確立した二人は、幻想的な主題、牧歌的な風景、身近な人々やその生活の情景を、親密な情感を込めて描きました。「最後の印象派」と言われる世代の中心的存在であった二人は~」「~二人は深い友情で結ばれ同じ芸術観を共有しながらも、それぞれの活動拠点に由来して、異なる光の表現を追求します。シダネルは北フランスに特有の霞がかった柔らかな光を、マルタンは南仏の眩い光を描き出しました。本展では、世紀末からモダニスムへ至るベル・エポック期に、独自の絵画世界を展開した二人の道のりを、約70点の油彩・素描・版画を通して辿ります。」

フランスの印象派か、、、なるほど、その作風は確かに、以前ここで見たシャルルフランソワドビニーもそうだが、幻想的、牧歌的、感傷的である。
コレクションは海外美術館からの借物、記念撮影用の数点を除き、撮影禁止マークが付いていた。
5階、4階、3階~出口前の小部屋の最終展示は、もちろんゴッホの名作「ひまわり」。
こちらはSOMPOの所蔵品なので撮影OK。
ひまわりの黄色とバックの黒のコントラストが見事で、絵には強烈なインパクトがあり、隙のようなものもまったくない。
まあ、終わりよければ全てよし、ということで、トリがこれではSOMPOはいつも敵なしだ、というのが今回の感想である。


ゴッホ、ひまわり、SOMPO美術館


ラウンジを横切り、館を出て都庁方面へ。
ヒルトンの正面玄関の交差点には桜花が咲き乱れており、ちょうど今が満開だ。
コロナ禍になり花見の季節は3度目だが、酒宴のない花見ならその必要がなく、こうして外出先で、偶然の桜との出逢いを楽しめれば十分満足である。
会場にはギリギリに到着。
受付で手続を済ませたり荷物を預けたりしていると、見覚えのある男性が通りかかった。
あれ、あのお兄さん、今日は何かおしゃれだぞ。


ヒルトン東京


「Jさん、こんにちは。お久しぶりですね。」
「やあ、元気ですか!?」
「私は、まあまあ、元気です。Tさんはどこにいるの??」
「会場のステージにいますよ。」
「今日も何か演奏するのかしら??」
「ああ、それは後半ね。あなたも今日は大いに楽しんでください。」

とまあ、相変わらず気さくで親切なJさん、でもJさんとTさん以外の顔見知りがおらず、彼らはホスト役で大忙しなので、私は窓際のカウンター席の椅子に座り、外の桜を眺めしばらくぼんやりと過ごした。
ちなみに、Tさんとはこの会社の社長であるが、私はただの飲み友達である。

やがてパーティーが始まったので、会場内へ。
テーブル席で食事をしながらゲストスピーカーの話、続いてライブ演奏を聞き、歓談の時間となった。


ヒルトン東京


ヒルトン東京


スマホの電池が切れそうだ。
充電のため私は会場のラウンジに出た。
来る人も帰る人もなく、受付係の数人の女の子がお手すきの様子、私は彼女たちに話しかけた。
彼女たちと雑談をしたり記念写真を撮ったりしていると、私の背後で男性の声がした。
ああ、この声は確か、、、黒い帽子をかぶった黒ずくめの中年男性。
彼はパーティーの司会進行役で、英語と日本語を自在に使いまわし会場を盛り上げていたのだが、洗練されたトークは見事でプロの技と思った。
先ほどの受付の女の子に話を聞くと、彼の名前はスチュアートオー(StuartO)、テレビやラジオに出たり、イベントの司会者をしているタレントのようだ。
しかし、「あたしたちはテレビをほとんど見ないから、あの人って、本業コメディアンなのかしら、よく知らないわねえ、、、」などと言って首を傾げた。
社長は彼のことがお気に入りで、いつも彼にパーティーの司会者を頼むのだという。
私は早速、スチュアートオーに話しかけてみた。

「スチュアートさん、こんばんは。今日のあなたの司会、実に素晴らしかったです。あなた、ただ者ではないですね。ソフィスティケートされているというやつです。」
「おお、ありがとうございます♪♪ あなたは??」
「私、あんみつ先生です。社長の飲み友達で、招待されて来たんですよ。」
「なるほど、あんみつ先生、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。でも、あなたって本当に有名人なのぉ~??」
「えっ!? ぼ、ぼくは、、、まあまあ有名かな(;´・ω・)アセアセ」
「そうですか、、、それは失礼しました。ねえ、スチュアートさん、私たち一緒に記念写真を撮っておきましょうよ。もっと有名になったときのために。」
「おお、いいですね!!」


ヒルトン東京、スチュアートオーさんとあんみつ先生の記念写真


ヒルトン東京、スチュアートオーさんとあんみつ先生の記念写真