「富田菜摘さんって本当に才能があるのよ!」
去年3月、私は、上野のリンネバーの小島幸代社長から、こう言われた(2023/04/01「冨田菜摘さんって本当に才能があるのよ!!」)
そして10月。
私は、新宿高島屋の美術画廊まで足を伸ばし、富田菜摘さんの個展を実際に見た。
もちろん、私もすぐ、富田さんのファンになった(2023/10/20「富田菜摘さんの「廃材アート」にひと目惚れ」)
半年後の今年4月。
今度は京橋のギャルリー東京ユマニテで、彼女の作品を再度見る機会を得た。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg5bG4tHG3sqsn40t0tCtwMabRpAjxHqadd6jLRPUBjn72VvgAQGA8D9LetFwymjgOD5C27kEQ8eO7GG1nd6WWaOOE0_iebZpHbb-cLWCfw8TQZtZ3-x3J5b-7riao9ORUEWrY5oLZMpyz0N8CD11pnrk5ktOVngsL10hDssqdNEg89UNf6xNAOn3osEm0/w480-h640-rw/20240418_124246.jpg)
今回の個展は、1階と地下の2種類。
1階の方は、新宿高島屋で見たのと同じコンセプトの廃材アート。
富田さんといえば、廃材アートと思っていたが、地下の作品は違っていた。
こちらは新聞紙を用いた社会風刺作品であった。
なるほど!
いずれの作品も洗練されており、素晴らしい。
しかし、私は、地下の作品が非常に面白かった。
新聞記事の文章が彼女たちを皮肉っているのだが、見る人によっては、どう感じるか。
まるで自分のことを皮肉られているようで、地下の作品は好かない!という感想は大いにあり得る。
私は、1階に戻ると、早速そのことを富田さんに聞いてみた。
すると、主催者によっては、いつもの廃材アートだけがよい、といわれてしまうそうだ。
確かに地下のものはデパートの美術画廊などでは売れにくいだろう。
無難な内容のものが日本人好みだと思うが、出番が少ないのは、チョット、もったいない話ではある。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgH-YpO2OfxidikxLXmzvC1nf1XuqBGony31GYEE6_Cc1Hec0aUVwn2ZZMfxetsAfime7S9hOSI-ATvrNvCDykxViTLYrs4qOqOWpSM2tzCeprDoIMTH9qMj9_9QUD_Qc4GQLBEGJAvhNJB52p8AxYrWaxM0BTttfiTc6BR7kIkfRib2nTWmwxmzydbsuI/w480-h640-rw/20240508_153208.jpg)
後日。
上記の展示会は、たまたま寄り道をした銀座シックスの蔦屋書店のものである。
磯崎隼士さんの「自己埋葬行為」・・・何だか、タイトルからして物騒であるが、こちらは自分を題材にした芸術作品といえるだろう。
例えば、自分のお墓の絵を描くとか、そういうこと?(*'ω'*)ウーン
その後は、用事を済ませ、京橋へ。
ギャルリー東京ユマニテを再訪しようと思い、路地を歩いた。
が、私は今回、何となく、ユマニテの手前のビルの前で足を止めた。
そこにある地下への薄暗い階段が気になったのだ。
「色本藍」個展。
いかにも怪しげな画廊が地下にある。
画家の名前もまた怪しげである。
私は、エロビデオ店に潜入するような、うしろめたい気分になった。
とりあえず、中に入ってみよう。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjd51O0BenlH3-btmgM5q_at9Fg2cGUuzb3ES2qMVw3RePPQXdwaveqGmaQEGSsSw_QQOGSzHQR-vtvBCPDpxcr7grDG57BDoHb_L3QeuT_LkzmzZmZYti8tBoQtdhWfZbOQVaa0E5wTxZ5Oy6dotcwLDPqxxxYWrvGA5XPtSKU2Bc72h8kxa1CwF4dGeA/w480-h640-rw/20240508_155803.jpg)
入口脇に、詩が書いてある。
画家自身が個展の趣旨を語る、非常に生々しい文章である。
なるほど、、、彼女はアーティストとしてゼッタイに成功したい、アセっているのだろう。
私は、小さなテーブルに置いてある名刺を1枚手に取り、ポケットにしまった。
では、早速、彼女の作品を見ようではないか。
薄暗い地下のギャラリーに、病んでる系の絵の数々が展示されている。
私は、先ほど読んだ彼女の詩を思い浮かべながら見ていった。
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誰にも知られたくないが、彼女は普段、狭いアパートの部屋で、失意と孤独の中に暮らしている。
どこにも出たくないし、何もしたくないし、おしゃれにも興味がない。
まるで病人である。
絵を描くことは彼女の幸せである。
短絡的な考えと分かっていても、自分は画家を生涯の仕事にしたいと思うわけだ。
身なりはきちんとしているが、、、外出時、人に見られている時の彼女だろうか。
あるいは在廊しているときなのかもしれない。
周囲の他人に対して身を守っている。
思うように作品を描けず、アトリエで、苦悩しているようだ。
あるいは、失敗作を眺めて、イライラしているのかもしれない。
才能がないから、やめてしまおう、という瞬間に見える。
私にはそのような絵に見えた。
さて、そろそろ出よう。
地下のギャラリーを出て京橋駅の方へ。
私は歩きながら、先ほどの名刺を見た。
色本藍、東京藝術大学大学院、美術研究科油画技法材料研究室、修士課程。
彼女の連絡先のほか、芸大の校章が書かれている。
いや、しかし、、、この名刺、紙質が非常に良いな、、、
実は、私の名刺は、激安ネット印刷のラクスルである。
送料込みで100枚741円。
しかし、彼女の名刺は、100枚で3000円以上はしそうな高級名刺であった。
ということは、この個展に賭ける彼女の想いは、それだけ強いのだろう。
私はそう思い、彼女の名刺をていねいにポケットにしまったが、いまの私は、、、実は、どのような名刺もスマホで撮影してデジタル化しているのだった。
最終的には、1枚の名刺の画像ファイルから文字情報を取り出してしまい、紙の名刺はほぼ処分している。
ということで、私としては、彼女が都会で、より長い間、アーティストとして粘るためにも、モッタイナイの日本人的精神が重要で、激安名刺のご使用をすすめたいところではある。