2022/01/24

あんみつ先生のかんたんトレンドチェック (Overlap MA)(1)

◆はじめに

私は2021年の日本テクニカルアナリスト協会の機関誌に「トレンドラインと移動平均の関係の考察」という研究論文を掲載しましたが、今回、平易な表現で一般向けに書き直しを行いました。
また、売買手法に親しみやすい名前を付けました。

「あんみつ先生のかんたんトレンドチェック(Overlap MA)」です!!

さらに後半では、この手法を発展させた移動平均のクロスを使った新しい売買手法もご紹介します。


◆移動平均とトレンドラインの重なり合いの観察

最近はパソコンやインターネットが発達し、より多くの複雑なテクニカル分析を簡単に見ることができるようになりました。
しかし、移動平均とトレンドラインは、テクニカル分析の世界において、なお偉大なるスタンダードというべきものです。
その長所はシンプルの魅力です。
私にとっては、テクニカル分析といえば移動平均とトレンドラインです。
証券会社や株式情報サイトのチャートツールを起動してみましょう。
移動平均が2~3本描かれたチャートが表示されるのがふつうです。
日本のチャートだからといって、一目均衡表が表示されるわけでもないし、最近人気で話題のテクニカル分析が表示されるわけでもないですよね。


(図表)
日経平均株価週足

週足の典型的な移動平均の期間設定は、13週、26週、52週移動平均
出典YahooFinance


移動平均は昔からあったテクニカル手法です。
伝統的な単純移動平均から始まり、指数平滑移動平均、加重移動平均など多種多様の移動平均が開発されています。
しかしいまもなお、単純移動平均が最もポピュラーです。
以下、移動平均とは単純移動平均のことを指します。

ワープロもパソコンもない時代、テクニカルアナリストはチャートを手書きで作ったそうです。
しかし、フリーハンドで移動平均を書き込む作業はなかなか大変そう。
日々の平均値をそろばんで計算し、数本の不規則な曲線(移動平均)をきれいに描かなくてはなりません。
でもこれが移動平均ではなく、トレンドラインならどうでしょう。
トレンドラインも移動平均と同様、伝統的なテクニカル手法ですが、こちらは曲線ではなく直線、定規で何本かの線(トレンドライン)を直ちに、きれいに引けます。
こちらの方が簡単、チャートの見栄えもよさそうです。

さて、みなさんはトレンドラインの引き方をご存知でしょうか。
著名なテクニカル分析の教科書(「先物市場のテクニカル分析」)に従えば、上昇トレンドラインは、上昇トレンドの起点の最安値から途中の押し目のところの最安値(下方ブレイクアウトをしていないもの)に向かって引きます。
下落トレンドラインは、下落トレンドの起点の最高値から途中の戻り高値(上方ブレイクアウトをしていないもの)に向かって引きます。


(図表)
日経平均株価月足

当初はアベノミクス開始時の最安値から2016年の押し目の安値に対して上昇トレンドライン(赤)を引いていましたが、このトレンドラインを、2020年の新型コロナウィルスによる混乱で下方にブレイクアウトしたため、以後は、その時の押し目の安値に対して新たに上昇トレンドライン(青)を引き直すことになります
出典YahooFinance


移動平均とトレンドライン、この2つを実際にチャート上で同時に見ると、上向きの移動平均と上昇トレンドラインは曲がっているか直線かという決定的な違いはあるものの、あるところでは美しく重なり合っていたりするのです。
下のチャートを見てください。


(図表)
日経平均株価日足

75日移動平均、200日移動平均、上昇トレンドラインを同時に表示すると、200日移動平均と上昇トレンドラインが、2017年~2018年の約1年間、ほぼ重なり合っています。その後、重なり合いが失われて移動平均が横向きになると相場も横向きになります。これについては後ほど説明します
出典YahooFinance


これって単なる偶然かな。
いや、しかし、考えてみるとチャート上には、本数の設定の数だけ複数の移動平均が存在しています。
トレンドライン周辺には、n本の移動平均が存在する、と考えられますが、私たちはたまたまn本の移動平均を表示していることもあれば、表示していないこともある。
もちろん、厳密に数値がピッタリ重なり合うことはないわけで、もっぱらそれは視覚的な問題です。
このように移動平均がトレンドラインに重なり合う場合、この移動平均を「Overlap MA」と呼ぶことにします。