2018/09/09

事業計画書の書き方(2)

事業計画書の内容


サービス商品のなかみ




前回の続きである。

①サマリー(sammary)
サマリーとは要約、ここではビジネスモデルを簡潔に記載することを意味する。

・事業ドメイン(ようするに、店の看板、何屋か、業界の分類等)
・このビジネスモデルの魅力、成長性
・事業戦略、成長戦略
・その実現方法、実現過程(スケジュール)
・なぜこのビジネスをするのか、選択理由、決断理由

サマリーに事業ドメインを明記するのは当然のことだが、少なくともここでは、何を(どんなサービス商品を)、誰に、どのようにして売るのか、といった5W1Hを要約して記載する必要がある。
また、事業の主役は起業家自身というよりは、利益を生み出すサービス商品そのものの方であるから、そちらの成長性を明示する必要がある。

サマリーの作成は、起業家にとっては、もう一度ビジネスプランを整理できる機会なので、意味のある作業と言える。さらに、このサマリーをもとに、30秒以内の説明、5分以内の説明、15分以内の説明、30分以内の説明というように、数パターンの話法を用意すれば効率的である。
(「概論日本のベンチャーキャピタル」P173)

②ビジネスモデル(business model)
事業計画書にはビジネスモデルを記載するわけだが、起業家はビジネスモデルとビジネスアイディアの違いをよく理解しておく必要がある。
私は、ビジネスアイディアを漫才のネタのようなものだとすると、ビジネスモデルとは漫才のシナリオ(台本)のことだと思っている。
同じネタでも、シナリオが違えば観客ウケも違ってくるから、シナリオはネタ同様に漫才の核心である。
シナリオとはネタを生かすための仕掛け、重要なのはこの仕掛けを事業計画書に明記できなくては、VCを説得できないということである。
また、漫才の話とひっかけてもう1つ付け加えると、ビジネスアイディアが「古いネタ」ではだめである。
ネタは今はやりのもの、トレンドでなくてはいけないのだ。

ビジネスモデルは時の流れとともに陳腐化し、最近はそのスピードが速くなっている。ビジネスモデルの有効期限が短くなっているということであり、VCはこの点に特に注意を払う。
(「概論日本のベンチャーキャピタル」P175)

③キャッシュフロー(cashflow)
詰まるところビジネスは「儲け話」である。
漫才は笑いを取れるかが勝負だが、ビジネスではキャッシュを取れるか(生み出せるか)である。
どうしてそのビジネスモデルでキャッシュを生み出せるのか、この点を事業計画書に明記しないとVCを説得できない。

④サービス商品(service product)
先ほどの繰り返しとなるが、何を(どんなサービス商品を)、誰に、どのようにして売るのか、がビジネスモデルの「なかみ」(各論)である。
事業計画書では、この点を掘り下げて説明する必要がある。

・サービス商品そのもの(サービス商品そのものの特徴、強み、革新性、使われているテクノロジーの説明等)
・市場(市場には需要があるのか?)
・顧客
・マーケティング(どのようにして顧客を勝ち取る?)
・ライバル(ライバルとの競争を勝ち抜くには? 競合他社との差別化)

この想定シナリオを現実のものとするには、キャッシュフローを生み出すためのビジネスモデルが実現可能であることをVCに示さなければならない~中略~そのビジネスモデルが、具体的なプロセスのなかで、どのようにしてキャッシュフローを生み出すのかという点が重要なのである。
(「概論日本のベンチャーキャピタル」P174)

さて、④に記した5つのポイントを、次回以降1つずつ解説する。