2022/09/01

たった2回のそれは、黄金時代の日本のことであった

日本橋宮川、うなぎ


むかしは良かったは老人の口癖である。

日本の証券関係者も同じようなことを口にする。


「バブルのころは良かったなあ。」

「へえ、そうなの??」

「そうだよ。いまは本当に景気が悪い。」


私はバブル時代の兜町を知らないが、お昼は寿司や鰻だったというし、まあ、バブルなら良かったにきまっているか。

しかし、老人が人生で最も輝いていた時間を取り戻すことは決してできないのだ。

また、人生のピーク時を基準にして現在の自分を評価するのは、非常に欲深いことでもある。

そのような評価をするなら、つねに現在の自分は敗北者ということになる。



■日経平均株価・年足
日経平均株価年足
(出典:かぶたん)


日本の株式市場はどうだろう。
バブル時の最高値は4万円の手前で、この場所からは常に相場を見下ろせるので、いつまでたっても日本株は割安だと言われる。
でも、本当にそうなんだろうか。
よく見ると、終値が3万円を超えていた年は、、、

1988年 30159円
1989年 38915円

たった2年だけ。
しかも、その時はアメリカを凌駕しようかという破竹の勢いの「黄金時代の日本」だった。
たとえ「黄金時代の日本」でもこの水準は高すぎる、というのがマーケットの神様の判断だったようだ。

ちなみに、2021年は一時3万円を超えたが、惜しくも、終値は28791円となった。


いまの日本は1988年と1989年と比較して強い日本なのだろうか。

もしその根拠や手がかりがあるならば、日経平均株価はこれからも上昇すると思う。

日本の証券関係者も、この先、個人投資家に日本株を推奨するときには、1988年と1989年と比較して、いまの日本がどういう点で「強い日本」なのかを説明できなくてはなるまい。

しかし日本の証券関係者は、チャートに買いシグナルがあることくらいしか説明することがないのではないか。



■日経平均株価・年足・ボリンジャーバンド

日経平均株価年足ボリンジャーバンド

(出典:かぶたん)



「えっ、きみはそんなばかげた根拠(テクニカル分析)で日本株に投資するの?」

「ええ、そうですよ。どうせ、あぶく銭ですから。」


<ボリンジャーバンドの計算式>
BB = x日の移動平均 ± x日の標準偏差 × y
(yは、1,2,3などを用いる)

ボリンジャーバンドについては、トレンドフォロー(順張り)で用いるならば比較的内側のバンド(例えば1σあたりのバンド)を描き、そのブレイクアウトなどで売り買いするのが有効である。
バンドの拡大縮小を観察する。
バンドが拡大中の局面をエクスパンションといい、エクスパンションをしているならトレンドが強まりやすいと考える。
この局面で実際にトレンドが出た場合、バンドウォークという。

さて、私もちょっと、テクニカル分析以外の、まともな理由を考えてみる。
すると、現在、日本銀行が大規模な金融緩和をしていること以外、日本の強さはひとつもないと思うのだ。
今のところ、さらなる金融緩和はあっても、その反対の政策はない、と信じ切れるならいいが、、、ウクライナ戦争で世界的なインフレ基調。
アメリカのFRBも、ヨーロッパのECBも利上げに舵を切っており、円安も進んでおり、日本としては、これ以上の金融緩和が難しい局面になっていることも確かだ。

日本株を買うなら、忘れないようにしておきたい。
たった2回のそれは、黄金時代の日本のことであった。



東京夜景