2022/01/26

あんみつ先生のかんたんトレンドチェック (Overlap MA)(3)

◆離脱局面

次に、両者が重なり合う状態から離れ離れになった場合の売買ルールについて見ていきましょう。
これを「重なり合いからの離脱」の局面と呼ぶことにします。

トレンドラインとOverlap MAが重なり合っている⇒その後、一方が他方から離脱するという場合、2つのパターンがあります。
1つは、Overlap MAが勢いを強め、トレンド方向に離れる場合です。
もう1つは、Overlap MAが勢いを失って、トレンドと反対方向に離れる場合です。
以下、チャートを順番に見ていきます。


(図表)
日経平均株価週足

小泉政権時代の上昇相場が崩れリーマンショックに至るまでの日経平均。Overlap MAは、60週(ピンク)、75週(水色)、90週(黄色)の3本の移動平均としています。このように重なり合いを作ろうとしてもうまくいかない場合もありますが、移動平均の本数設定について厳密に考えすぎず、こうやって柔軟に対応してしまいます
出典YahooFinance


(図表)
ドル円週足

今度は下落トレンドのチャート。2008年前後のドル円の週足の円高トレンドです。ここでは下落トレンドラインを2本引き、Overlap MAは、60週(緑色)及び120週(黄色)としています
出典YahooFinance


トレンド転換の局面では、Overlap MAがトレンドラインから分離し、トレンドとは反対方向に向きを変えていきます。
これでトレンド転換が決定的となりますが、実戦でトレーダーは、この一連の流れを見極め、この間に保有ポジションを売りから買いへ、または買いから売りへ、ひっくり返す必要があります。
さもなければトレンド転換時に大きな痛手を受け、相場の転機にも乗り遅れてしまうでしょう。

さて、私は先ほど、2の重なり合いの局面で、下落(上昇)トレンドラインをブレイクアウトした場合は短期の移動平均のサポートをして買っていく(売っていく)と言いました。
そう考えるなら、重なり合いからの離脱局面においてOverlap MAがトレンドと反対方向へ離脱したときは、なおさら買い(売り)と考えなくてはバランスが悪い。
またこのような結論はグランビル法則のルール1の趣旨に合致しており、妥当と考えます。


(図表)
日経平均株価週足

2012年アベノミクスの上昇トレンド。Overlap MAは200週移動平均(黒)、あるいは、225週移動平均(緑)としています。長い間、重なり合っていましたが、2020年3月の新型コロナウィルスの混乱期に上向きのOverlap MAを大きく下抜けました。しかし、その後急反発で再び戻っています。ここでOverlap MAは下方向への転換を免れていますが、下向きになっていないとしてもここは売りです。私は先ほど、2の重なり合いの局面で、下落(上昇)トレンドラインをブレイクアウトした場合は短期の移動平均のサポートをして買っていく(売っていく)と言いましたが、それとのバランスもあって、ここは買いではなく売りとなるのです。しかし結果はどうだったかというと、保有ポジションを買いから売りへひっくり返したことが裏目に出ています。ただ、繰り返しとなりますが、これは短期的で打診的な売買判断で、常に損切(撤退)の準備をしておく必要があります
出典YahooFinance


(図表)
日経平均株価日足

先ほど見たチャートです。Overlap MAは200日移動平均ですが、重なり合いが失われると、つまり200日移動平均が横向きになると、相場も横向きになって何度も下落を試しています。このようにトレンド相場が横に流れ、保ち合いを形成すると要注意です。長引けば長引くほど、Overlap MAは傾きを失い、トレンドラインから分離する宿命だからです。もっとも、分離を始めても、Overlap MAの内側(トレンド方向)に相場があるうちは、トレンド転換は決定的ではないのです。しかし、Overlap MAの外側(トレンドと反対方向)へ突き抜けてしまうとトレンド転換が決定的となります。これはグランビル法則のルール(1)(5)の趣旨からの解釈で妥当なものと考えます
出典YahooFinance


さて次に、重なり合いからの離脱局面においてOverlap MAがトレンド方向へ離脱したときはどうなるのでしょう。
この点については、トレンドが強まっているのだから、トレンド方向に売買をするのが自然ですよね。


(図表)
ナスダック100指数先物週足

リーマンショック当時の安値から引いた上昇トレンドラインに、100週(黄色)及び120週(ワインレッド)の2本の移動平均を重ね合わせています。その後、この2本のOverlap MAは、上昇トレンドラインから分離して上向きとなります。ここからは過熱相場(バブル相場)の始まりです。上がりすぎ、と考えるのではなく、ついに強い上昇トレンドが始まったと見るのが自然なのです。分離王将したOverlap MAは、押し目買いのチャートポイントとして機能するようです
出典YahooFinance


(図表)
WTI原油先物日足

Overlap MAが下落トレンドラインから分離して下向いています。ここでは下落トレンドがさらに強まっており、大きく下落したところを逆張りの手法で買うのはハイリスクです。大暴落の初動の可能性があります
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