2022/01/25

あんみつ先生のかんたんトレンドチェック (Overlap MA)(2)

◆重なり合いの局面

まず、両者が重なり合っている場合の売買ルールについて見ていきます。
ただその前に、移動平均の売買ルール、トレンドラインの売買ルールをおさらいしておきましょう。

①移動平均の売買ルールのおさらい
移動平均のクロスの売買ルールをご存知の方は多いでしょう。
長短2本の移動平均の交叉を見るのですが、短期が長期を上抜いたら買いサイン、これをゴールデンクロスと言い、短期が長期を下抜いたら売りサイン、これをデッドクロスと言います。
クロスそのものがピンポイントで売買のタイミングとして適切とは限りませんが、その意味がややあいまいではあるものの相場の方向を判断するために移動平均のクロスを見るのは非常に有効です。
ここで、ゴールデンクロスは買いという意味をより深めて考えますと、ゴールデンクロスをするまでは戻り売り目線であったとしても、ゴールデンクロス後は押し目買い目線に転換せよ、というような意味合いだと思います。
デッドクロスは売りの意味はその反対です。


(図表)
日経平均株価週足

日足の25日移動平均と75日移動平均のクロスはあまりにも有名。不発のこともあるが、大きなトレンドになることもあり、なかなか厄介
出典YahooFinance


次に、グランビルの法則です。
こちらでは1本の移動平均と相場の位置関係を見るのですが、全部で8パターンあります。


(図表)
グランビル法則の売買ルール


ルール

内容

ルール(1)

移動平均が下落後、横這いになるか上昇しつつある局面で、株価が移動平均を上に突き抜けるなら、これは重要な買いシグナルである

ルール(2)

移動平均が依然として上昇しているのに株価が移動平均を下回る場合、買い時期とみられる

ルール(3)


株価が(上昇する)移動平均の上にあって、株価が移動平均に向かって下落したものの、交差することなく再び上向きに転じるなら買いシグナル

ルール(4)

株価が低下する移動平均の下に大きく落ち込むならば自律反発が期待できる

ルール(5)


移動平均が上昇後、横這いになるか下落しつつある時、株価が移動平均を下に突き抜ければこれは重要な売りシグナルである

ルール(6)

移動平均が依然として下降しているのに、株価が移動平均を上回って上昇する時は売り時期とみられる

ルール(7)

株価が下降する移動平均の下にあって、株価が移動平均に向かって上昇し、交差しないで再び下向きに転じるならば売りシグナル

ルール(8)

移動平均が上昇している場合でも、株価が移動平均とかけ離れて大きく上昇した場合、自律反落する可能性がある

「日本テクニカル分析大全」P143(日経新聞出版社)より筆者作成



グランビル法則では、相場が移動平均の傾きの方向に行きやすいということが非常に重要です。
移動平均が上向きなら押し目買い、下向きなら戻り売りのチャートポイントとなります。

②トレンドラインの売買ルールのおさらい
トレンドラインの売買ルールというと、ひとつにはトレンドラインはサポート、レジスタンスになるということがあります。
上昇トレンドラインがサポートされれば上昇トレンドが確認されますが、サポートしきれずにブレイクアウトすると下落トレンドに転換した可能性があり、要警戒と考えます。


(図表)
日経平均株価週足

サポートされればトレンド継続だが、ブレイクアウトするとトレンド転換を警戒する必要がある、というのが一般的な見方です。いったんは上昇トレンドライン上で押し目買いをして、下へ抜けてしまったら売りに回ります
出典YahooFinance


でもちょっと待ってください。
上昇トレンドラインではなく、ここにあるはずのOverlap MAとの関係で売買ルールを考えるとどうでしょう。
下にブレイクアウトした場合はグランビル法則に従いますから、移動平均は上向きなので、なお押し目買いのチャートポイントのはずです。
そうするとこれは、下落トレンド転換に要警戒というトレンドラインの売買ルールの理解とはちょっと違いますね。
う~ん、この2つの売買ルールの関係、どう整理すればいいのでしょう。

③2つの売買ルールの関係
この点については、次のように考えます。

・トレンドラインをブレイクアウトした場合、長期のトレンドが転換したとは考えません
・短期的に反対のトレンドになっていると考えます
・ブレイクアウトの方向に、短期移動平均のサポートで、あるいは、短期のチャートで試しに順張りをしてみるのがいい

私は、移動平均のグランビル法則ルール2と6を考えていない、ということです。
もっと短い移動平均のサポートで、あるいは、もっと短期のチャートを見て、グランビル法則に逆らってでもポジションをとっていきます。
ただ、これは短期的で打診的な売買判断で、常に損切(撤退)の準備をしておく必要があります。


(図表)
日経平均株価週足

上昇トレンドラインのブレイクアウト後、13週移動平均、26週移動平均、40週移動平均(≒200日移動平均)のサポートで下落
出典YahooFinance