2022/01/24

美術品の価格の話

「ねえ、Bさん、つまり、これってガレッジセールなんでしょ??」
「まあ、そういうことですね、、、」
「画廊のものですか??」
「いや、お客さんが定期的にコレクションを整理するんです。」
「いつもやってましたっけ??」
「半年に1度くらいかな。」
「どこかのギャラリーで見た作品もある。この絵は本物ですか??」
「ええ。」
「いいんですか、持ち主はこんな値段で売っても。」
「まあ、買い手がないものは、こうしてお店に出して動かしてあげないと、、、」


ギャラリー椿オークション


先週、彫刻家中村萌さんでお馴染みのギャラリー椿を何となくのぞいたら、オークションの準備をしているところで、Bさんとこんな感じのやりとりをした。
美術品のオークションというとサザビーズなどの華やかな場面を思い浮かべる。
しかし、処分売りのオークションもある、ということで、現実は厳しいのだな、と思った。

そういえば先週は、東京ビックサイトの資産運用エキスポにも行ってきた。
会社四季報オンライン編集長(福井純氏)の講演を聞くためである。




資産運用エキスポ


1時間ばかりの講演、内容は株式投資初心者向けのもの、四季報のデータの読み方、簡単なファンダメンタルズ分析の方法など、入門レベルの話は新鮮でおもしろいものだった。
彼には去年論文の出版の件でお世話になったので(東洋経済新報社が編集を担当した)、講演後、私は挨拶に出向いた。
すでに何度かメールのやりとりがあり、初対面なのに私たちはそれらしくない挨拶をした。

ところで、福井氏はこの講演で株式の価値について話していた。
その話は長いので省略するが、確かに上場株式には投資価値、財産的価値があって、ほぼ常時、証券取引所で転売ができる。
しかし実は、このようなエグジット(Exit)の方法が、有価証券の価値を正しく裏付ける重要な前提条件のようなものなのである。
これに対して美術品の多くは、有価証券とは異なり、有効な出口戦略もなければ買い手も少ないため、先ほどのオークションのようになってしまう。
オークションの価格が作品の価値を正しく反映していない、おかしい、と思う人がいるかもしれないが、これは仕方がないのである。
アートで資産運用という場合、投資家は価格変動リスクのみならず、流動性リスクにも注意が必要ということである
もっとも、同じ理屈で、とてつもなく高値をつけることもあるので、オークションの価格が作品の価値を正しく反映していないというのは、(名画に)当たるととてつもない利益をもたらすことをも意味するわけであるが、実際、そんな経験ができるコレクターって、どれくらいいるのだろうか。

オミクロン株の感染リスクもあるので、講演終了後、私は早めに会場を出た。
帰りは有楽町乗り換えで、有楽町線の有楽町駅から千代田線の日比谷駅へ。
いつも思うがこの乗り換えは、長い地下道を歩き、階段を上ったり下りたりと、非常に大変である。
順路に従って歩くと途中何度か方向転換もあるので、どこを歩いているのかよく分からず、ちゃんと千代田線の改札に着くのか不安にもなる。
まるで地下迷路を歩いているみたいなのだが、私は出光美術館のある帝劇ビルの前を通り、ミッドタウン日比谷の入口に着いた。
ここまで来ると、ああ、よかった、とひと安心なのだが、この日は入口左手の生花店ビアンカバーネットをのぞいた。


ビアンカバーネット


店長が出てきたので、店長、こないだはどうも、と伝えた。
しばらく店長と話した後、店を出て、こないだと同じようにビアンカの向かいのパン屋をのぞいた。
ママ殿のおみやげを買って帰ろうと思って、店頭でこないだ見かけたシュトレンを探したが見当たらない、、、私は店員の女の子を呼び止めて、シュトレンの場所を聞いた。


シュトレン




「すみません、ちょっとお聞きしたいんですが、、、」
「はい。」
「シュトレンはどこですか?? 確か、ここにおいてませんでしたっけ。」
「あ、シュトレンは終わっちゃいました。」
「どうしてですか!?」
「シュトレンは12月だけなんです。ドイツのお菓子で、あちらではクリスマス前に少しずつ食べるんです。だから12月24日まででおしまいなんですよ。」
「ああ、なるほど。私が見たのは12月なかばですね、、、」
「またのご来店を。」