2022/08/14

我が社の株券どうしましょう

株券に関する定款規定


<株券に関する定款規定>
(旧会社法)
原則=株券発行
例外=定款の別段の定め(株券不発行の定め)
(現在の会社法)
原則=株券不発行
例外=定款の別段の定め(株券発行の定め)
・なお、旧会社法時代の株券不発行については、現行法とは意味が異なり、株券不所持の意味である(詳細は旧会社法の専門書を参照、鈴木竹雄「会社法」P103ほか)

(株券を発行する旨の定款の定め)
第二百十四条 株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。
会社法

ほとんどの人がネット証券で株取引をするし、会社法は株券不発行を原則と定めている。
なので株券など滅びたと思う人がいるかもしれないが、街角の中小企業は昔の定款のまま。
旧会社法の時代、株券のルールは逆だった。

そうすると、昔の定款のままで、定款に株券不発行の定めがない会社はどうなるのだろう。
答えは、株券発行会社のままなのである。
現在の会社法が施行されたのが2006年5月1日。
その時の経過措置として「株券発行の定めが定款にある」ことにされたからである(整備法76条4項)。
よって、オーナー社長の金庫の株券は有効のまま。

(権利の推定等)
第百三十一条 株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する。
2 株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
会社法

株券を発行しているならば、株式の譲渡は株券の交付で行う必要がある。
契約書の作成だけで譲渡すると無効なのである。
つまり、契約書を作成して株式を買いました~自分は株主のつもりでいました~実は売主の会社の定款に株式発行の定めがありました~という場合は無効なのである!!
そして、それに気付かないでいるうちに、売主の会社が株券を別の者に譲渡したりなんかすると、株券を取得したその買主が正当な株主となるのである。
131条1項により、株券を所持していると株主、と推定されるからである。
もっとも、泥棒が盗んだ株券を持って、その会社へ行き、自分は株主だと主張できるわけではない。
が、紛失した株券がABCDなどと転々譲渡され、事情を知らないD(法律の世界では事情を知らないことを「善意」という)が株券を取得すると、法律上善意取得で保護されるため、適法な株主となる。

先ほどのオーナー社長の金庫の株券の話に戻る。
あら、我が社の株券どうしましょう。
お金に困った時に質入れできるくらいのメリットしかなさそうだし、株式もキャッシュレスの方が安心だよなあ。
この株券は、もう、無効な株券にしたいのだが。

上記の整備法76条4項により、我が社は定款に株券発行と書いていないのに「書いてある」ことにされているわけである。
ということは、株主総会を開いて、定款にそんなことは書いていませんよ、と決議すればいいのか。
ただし、もし第三者が株券を持っていたら、それがいきなり無効となるのはひどい話であるから、定款変更後に所定の手続をする必要がある(218条)。

(株券を発行する旨の定款の定めの廃止)
第二百十八条 株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ、株主及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。
一 その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨
二 定款の変更がその効力を生ずる日
三 前号の日において当該株式会社の株券は無効となる旨
2 株券発行会社の株式に係る株券は、前項第二号の日に無効となる。
3 第一項の規定にかかわらず、株式の全部について株券を発行していない株券発行会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとする場合には、同項第二号の日の二週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、同項第一号及び第二号に掲げる事項を通知すれば足りる。
4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
5 第一項に規定する場合には、株式の質権者(登録株式質権者を除く。)は、同項第二号の日の前日までに、株券発行会社に対し、第百四十八条各号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
会社法