2020/05/19

私は「ダイハード」の不運な刑事ジョンマクレーン

虎ノ門ヒルズ、ぼくとらのもん


虎ノ門ヒルズ、ぼくとらのもん


虎ノ門ヒルズ


今回は、2020/05/13「仕事人間からの脱却」の続きである。
私は、この話を書く時、思い出したことがある。
おととし、虎ノ門ヒルズのジャフコのオフィスの会議室で行われた人事のセミナーのことである。
エンゲージメントをテーマにしたもので、従業員の福利厚生の多様化を取り上げており、非常に興味深かった。
かつての大企業のような社宅、保養所、社員旅行といった福利厚生は、企業側はコストがかかるのと、従業員もまたそれを必ずしも望んでいないのとで、これからは別の形の福利厚生を模索していく必要がある、ということだった。
そこではいくつかの具体例が紹介されていたのだが、おととしのことなので、よく思い出せない。
ただ、私の印象に残ったのは映画鑑賞補助である。

例えば、従業員が自分の見たい映画を見に行き、それを会社に報告すると、映画鑑賞補助として500円ほど支払われる仕組み。
これなら従業員が毎週映画を見に行っても、月に2000円で済むが、その従業員の満足度はかなり高い。
映画鑑賞補助はクーポン券とはまったく異なるものである。
クーポン券は割り引かれる映画が指定されているので、従業員は自分の見たい映画を見に行けるわけではない。
この映画鑑賞補助と同じことが、従業員の社外活動でも広く実施されればよいな、と私は思う。
従業員は余暇を楽しめるのと同時に、新しいことを始めるなどして思わぬ人生が開けるかもしれないからだ。
そういう従業員が増えると、会社にも良い効果が及ぶことは間違いないし、会社に依存する「仕事人間」も少なくなる。

このように、21世紀型の福利厚生は従業員1人1人の個性に着目したものになると思う。
古い体質の会社を「硬直した組織」から「柔軟な組織」に変革する必要がある。
そのためには、従業員の個性を伸ばすことが重要であり、全体主義的な福利厚生は好ましくない。
もっとも、社内の懇親、団結の醸成も重要だと思うかもしれない。
だが、そのために社員旅行をする必要はまったくなく、月例の飲み会でも足りるのである。
新型コロナウィルスのこともあって、いまは月例の飲み会すら控えられているが、今後、従業員の集団行動が回復することはかなり難しい、と私は思う。
新型コロナウィルスにより、集団行動から個人の行動へ急速にチェンジしていくだろう。
福利厚生もそのような時代の流れに合わせて変化する必要がある。

さて、ここからは余談。
私はこのセミナーで、もう1つ、印象に残っていることがある。
それは、虎ノ門ヒルズ内で迷ってしまい、しばらく出られなくなったことだ。
ブログの読者は、またか!!と思うかもしれないが、前回の東京芸術劇場は間一髪セーフ、出られた!!という点が異なる(2019/08/10「東京芸術劇場の冒険」)。




都心の大きなビルは、帰りが遅くなるとビル管理会社が警備を厳重にして、昼間入ったときとは違う秩序になっていて戸惑うことも多いと思う。
帰る時、私は虎ノ門ヒルズの裏方スペースにうっかり迷い込んでしまい、どこにいるのかよく分からなくなってしまった!!

堅く閉ざされた鉄扉の前で、私は「ダイハード」の不運な刑事ジョンマクレーン(ブルースウィリス)のことを思い出していた。
しかし、たまたま通りかかった警備のお兄さんに事情を話して、その案内で何とか1階の玄関ロビーまで戻ることができた。

おお、よかった。
私って、やっぱり、ラッキーな人です♪♪

私は無人の玄関ロビーをしばらく自由に歩いてみた。
私の靴音だけが聞こえる。
昼間とは違い、時が止まっているようだった。
インフォメーションセンターの壁を見上げると宇宙旅行のような幻想的絵画が飾ってある。
それが何とも言えぬ美しさなので思わず私は息をのんだ。






美術館あるいは美術というものを、これまで私は仕事の合間などに軽々しく暇つぶしで見ていただけだった。
現代美術に興味があるわけでもなく、クラシック音楽好きの私なら伝統的な作品のほうが権威があって見やすかった。
しかし、このときの私は柄にもなく感動して、しばらくこの絵を眺めた。
その後、外に出ると、昼間はただの人形だった建造物が見事にライトアップされており、これもまた何とも言えぬ美しさであった。