2019/12/16

元祖ビストロ?

今日は午後に、新御茶ノ水の井上眼科クリニックで定期健診と診察があった。
私は受付時間よりだいぶ早く到着し、手続を済ませた。
井上眼科の診察は半日がかりである。
複数の広いラウンジ(待合室)があり、どこも患者で満員になるほどの混雑である。
だが、職員の手際が良く、私たち患者は「らくちん」に過ごせるので、混雑はそれほど気にならない。
診察を終えて夕方5時近くになると、さっきまでラウンジを埋めていた患者たちはどこかへ消えている。
これはいつ見ても実に不思議な光景で、彼らは診察のプロであると同時に、患者を「さばく」プロだと私は感心するのである。

私の主治医は女医のO院長である。
そもそも井上眼科は女医の方が多いが、男性医師よりも話しやすく、物腰も柔らかいので、接遇戦略のひとつなのかもしれない。
しかし、最近の医学部の不正入試問題をめぐる調査では、女性の受験生の方が医学部の入学試験で優秀な成績であったというのだから、実力的にも正しい経営戦略であろう。
さて、O院長はごく普通の医師のように見える。
が、私の眼を簡単に診察するだけで私の最近の体調などが分かるのである。
目は口ほどにものを言う、迷信的な格言だと思っていたが、本当にそうなのだとここで知った。

今日は受付をしたのが早かったので、待ち時間に眼科内の眼科資料室を見た。
戦前の井上医院の分厚いカルテ、戦前の日本で最先端とされた眼科機器などが展示されているのだが、ラウンジの一角だけなので数分で見終わった。
その後、いったん眼科を出て、最上階の銀座アスターに行った。


銀座アスター、アスター麺


久しぶりに銀座アスターでアスター麺を食べた。
食後は眼科に戻るとすぐ定期健診で、その後それほど待たず診察となった。
診察では特に異常はなく、会計を済ませた私は、処方箋を持って新御茶ノ水ビルの地下の調剤薬局に行った。


新御茶ノ水駅地下のクリスマスのサンタクロースの願い事コーナー


薬の用意ができるまで、調剤薬局のそばのサンタクロースの願い事コーナーを眺めた。
自分も願い事を書いて張り付けた。
去年もこの時期にここで同じことをしたのだ。
その時の願い事は空振りとなったが、今年の願い事はどうだろう。

その後、夕食をとるため新御茶ノ水から銀座へ。
といっても、銀座の場末のリーズナブルな居酒屋である。


七賢元酒屋


銀座駅を出て並木通りを新橋方面に歩き、雑然とした8丁目の路地の居酒屋「七賢元酒屋」に入った。
実は、今晩ここで友人と2人で飲む予定だったが、急用で来られないので、私だけ食べるつもりだった。
店が開いたばかりで客はおらず、顔見知りの店主Kさんと世間話をしながら食べた。


七賢元酒屋


七賢元酒屋4


私が頼むものはだいたい決まってて、もろきゅう、タコのから揚げ、海鮮のごはんなどである。
しゃれた料理ではないのだが、どれもおいしい。
自宅で飲むため、七賢の日本酒を1本買って帰った。

取手駅に着いたのは8時頃。
私は何となく、駅前にある行きつけのフレンチレストラン「キュイジーヌアイ」に顔を出した。
実は、ここのオーナーシェフのIさんは、先ほどの居酒屋のKさんと旧知の仲なのである。
詳細は書かないが、2人はバブルの頃の銀座で「ビストロ」を共同経営していた間柄である。
今でこそ「ビストロ」という言葉を日本人は当たり前に使っているが、当時はそんな気の利いた言葉はなかったという。
2人とも、グルメ雑誌の取材やら何やらで忙しい日々を送っていたというが、しばらくしてIさんはKさんのビストロを離れた。
帝国ホテルの料理人となるためである。
その後、帝国ホテルを退職したIさんは取手駅の近くで自分の店を持ち、夫婦で営んでかれこれ20年近くになる。
私は、さっきKさんの店で食事を済ませてきたと伝え、いつものようにカウンターの席に座り、軽い食事とワインを注文した。


キュイジーヌアイ3


キュイジーヌアイ1


12月なのに、ボジョレーヌーボーを注文してしまった。
Kさんの話題をふると、Iさんは銀座の昔話を懐かしそうに語る。
しかし、いま初めて知ったが、IさんはKさんの新しい店には一度も行ったことがないというのだ。
移転前の店には行ったことがあるんだけど、と言っていたが、どういうことだろう。

「あのう、これ、七賢の酒なんだけど、、、」
「おっ、いま飲むの??」
「いや、実は、Kさんから預かってきて、、、Iさんに渡してくれと言われたんだけど。」
「えっ、本当におれに??」
「確かに渡しましたからね!!」
「いただきます。七賢なんて久しぶりだ。」

私はさっき自分のために買ったばかりの七賢の酒をIさんにあげてしまったのだった。
まもなく閉店時間になり、会計を済ませ店を出た。
恐らく、一緒に店をやっていた2人の間には、私には語られないトラブルや紆余曲折もあったのかもしれない。
どうもIさんはKさんに話したり会ったりしにくい理由があるのではないか。
私は話していて何となくそう思った。
どうしてかと言われると、まあ、別に根拠などないのだが、今日の眼科のO先生ではないが、目は口ほどにものを言うということである。