今日は午後に、新御茶ノ水の井上眼科クリニックで定期健診と診察があった。
私は受付時間よりだいぶ早く到着し、手続を済ませた。
井上眼科の診察は半日がかりである。
複数の広いラウンジ(待合室)があり、どこも患者で満員になるほどの混雑である。
だが、職員の手際が良く、私たち患者は「らくちん」に過ごせるので、混雑はそれほど気にならない。
診察を終えて夕方5時近くになると、さっきまでラウンジを埋めていた患者たちはどこかへ消えている。
これはいつ見ても実に不思議な光景で、彼らは診察のプロであると同時に、患者を「さばく」プロだと私は感心するのである。
私の主治医は女医のO院長である。
そもそも井上眼科は女医の方が多いのだが、男性医師よりも話しやすく、物腰も柔らかいので、接遇の戦略のひとつなのかもしれない。
しかし、最近の医学部の不正入試問題をめぐる調査では、女性の受験生の方が医学部の入学試験で優秀な成績であったというのだから、実力的にも正しい経営戦略と思われる。
今日は受付をしたのが早かった。
その分、待ち時間が長くなり、退屈でラウンジなどを歩き回っていたら、眼科資料室という場所を見つけた。
戦前の井上医院の分厚いカルテや、戦前の日本では最先端とされた眼科機器などが展示されているところなのだが、ラウンジの一角なので数分で見終わった。
その後は、いったん眼科の外に出て、最上階の銀座アスターへ。
久しぶりに銀座アスターでアスター麺を食べた。
ランチタイムは、ランチセットのほうがお得なのだが、私はアスター麺を食べることが多い。
食後は眼科に戻るとすぐ定期健診になった。
その後はそれほど待たず診察の番が来た。
診察では特に異常はなく、会計を済ませ、私は処方箋を持って新御茶ノ水ビルの地下の調剤薬局へ。
薬の用意ができるまで、調剤薬局のそばのサンタクロースの願い事コーナーを眺めた。
自分も願い事を書いて張り付けた。
去年もこの時期にここで同じことをしたのだ。
去年もこの時期にここで同じことをしたのだ。
その時の願い事は空振りとなったが、今年の願い事はどうだろう。
その後、夕食をとるため新御茶ノ水から銀座へ。
といっても、銀座の場末のリーズナブルな居酒屋である。
その後、夕食をとるため新御茶ノ水から銀座へ。
といっても、銀座の場末のリーズナブルな居酒屋である。
銀座駅を出て並木通りを新橋方面に歩き、雑然とした8丁目の路地の居酒屋「七賢元酒屋」に入った。
実は、今晩ここで友人と2人で飲む予定だったが、急用で来られないので、私だけ食べるつもりだった。
店が開いたばかりで客はおらず、顔見知りの店主Kさんと世間話をしながら食べた。
私が頼むものはだいたい決まってて、もろきゅう、タコのから揚げ、海鮮のごはんなどである。
しゃれた料理ではないのだが、どれもおいしい。
自宅で飲むため、七賢の日本酒を1本買って帰った。
駅に着いたのは8時頃。
私は何となく、行きつけのフレンチレストラン「キュイジーヌアイ」に顔を出した。
実は、ここのオーナーシェフのIさんは、先ほどの居酒屋のKさんと旧知の仲なのである。
詳細は書かないが、2人はバブルの頃の銀座で「ビストロ」を共同経営していた間柄である。
今でこそ「ビストロ」という言葉を日本人は当たり前に使っているが、当時はそんな気の利いた言葉はなかったという。
詳細は書かないが、2人はバブルの頃の銀座で「ビストロ」を共同経営していた間柄である。
今でこそ「ビストロ」という言葉を日本人は当たり前に使っているが、当時はそんな気の利いた言葉はなかったという。
2人とも、グルメ雑誌の取材やら何やらで忙しい日々を送っていたというが、しばらくしてIさんはKさんのビストロを離れた。
帝国ホテルの料理人となるためである。
その後、帝国ホテルを退職したIさんは独立して自分の店を持ち、夫婦で営んでかれこれ20年近くになる。
私は、さっきKさんの店で食事を済ませてきたと伝え、いつものようにカウンターの席に座り、軽い食事とワインを注文した。
12月なのに、ボジョレーヌーボーを注文してしまった。
Kさんの話題をふると、Iさんは銀座の昔話を懐かしそうに語る。
しかし、いま初めて知ったが、IさんはKさんの新しい店には一度も行ったことがないというのだ。
移転前の店には行ったことがあるんだけど、と言っていたが、どういうことだろう。
Kさんの話題をふると、Iさんは銀座の昔話を懐かしそうに語る。
しかし、いま初めて知ったが、IさんはKさんの新しい店には一度も行ったことがないというのだ。
移転前の店には行ったことがあるんだけど、と言っていたが、どういうことだろう。
「あのう、これ、七賢の酒なんだけど、、、」
「おっ、いま飲むの??」
「いや、実は、Kさんから預かってきて、、、Iさんに渡してくれと言われたんだけど。」
「えっ、本当におれに??」
「確かに渡しましたからね!!」
「いただきます。七賢なんて久しぶりだ。」
私はさっき自分のために買ったばかりの七賢の酒をIさんにあげてしまった。
まもなく閉店時間になり、会計を済ませ、店を出た。
恐らく、一緒に店をやっていた2人の間には、私には語れないトラブルや紆余曲折もあったのではないか。
どうもIさんはKさんに話したり会ったりしにくい理由があるのではないか。
私は話していて何となくそう思った。
どうしてかと言われると、まあ、別に根拠などないのだけど。