※2019年のお蔵入り記事の再公開
今日は、司法書士友達のM先生と一緒に丸の内で講演会を聞いた。
ただ、講演会は夜であり、毎度のことだが昼間に美術館めぐりをした。
東京スカイツリー→郵政博物館→皇居→三の丸尚蔵館→丸ビル
スカイツリーの周辺施設「ソラマチ」はスーパーマーケット、ブランドショップなど多様な店舗が入るが、郵政博物館は進学塾などの入るソラマチの8階にある。
進学塾は夜がメイン、なので日中の8階はスカイツリー内とは思えないほど静かである。
都内だが「ぐるっとパス」などには入っていないので、券売機で300円の入場券を買い、中へ入った。
ここ郵政博物館は、郵便局と切手に関するかなりマニアックな博物館である。
常設展示として日本の郵便の歴史と世界の切手コレクションのコーナーがあり、たぶん切手マニアにとって要チェックと思われるが、奥の方まで行くと企画展示室があり、今日はそこが私の目当てであった。
「猫のダヤン」の企画展。
猫のダヤンは、池田あきこの絵本のキャラクターである。
アニメにもなった有名なキャラクターだが、私は詳しくない。
入口に描かれているダヤン、じっと眺めると、ヒグチユウコのギュスターヴ君とはだいぶ違う感じの猫である。
ギュスターヴ君はヒネくれている感じの猫だが、ダヤンは素直で癒し系に見える。
ギャラリーを歩きながら、ここは宮崎駿のファンタジーのような世界だな、と思った。
子供時代に返ったような気分。
帰りがけ、ミュージアムショップで、いくつかダヤングッズを買った。
スカイツリーを出た私は、押上駅から半蔵門線に乗り、大手町駅へ。
三井住友銀行本店の出口から皇居へ。
今日は皇居の三の丸尚蔵館で正倉院の宝物の企画展を見たかった。
が、残念ながら閉館日であった。
せっかくなので、少し散歩でもしよう。
来年の東京オリンピックの準備のため、皇居内のあちこちで大規模工事が行われていた。
これは工事のやりすぎである。
騒々しいし、歩きにくい。
私は工事現場のオレンジ色の柵に近づき、白い案内板を見た。
当たり前だが、どの工事も宮内庁の発注か。
しかし、これほど多くの工事を発注すれば、何人もの宮内庁の役人がゼネコンに天下りをしていてもおかしくないな、、、
そのうち私は、道なりに小さな森へ入った。
工事現場から離れたので、辺りは静まり返っている。
散歩する人も見かけなくなった。
なんだか、他人のお屋敷の裏庭に勝手に入っているみたいだな、と私は思った。
久しぶりに1人のおじさんが向こうから歩いてきて、こんにちは、と軽く挨拶を交わしてすれ違った。
さらに道なりに歩くと、小さな森から出て、急に芝生の公園のような景色になった。
おや、あ、あれは郵便ポスト??
意外なことに、私は皇居の路上で、ぽつんと立つ郵便ポストと出会った。
それは何となく不思議な光景で今も印象に残っているのだが、いったい誰がここから手紙を出すのだろう、と私は不思議に思った。
まさか、天皇陛下の恋文用のポストではないよねえ。
しかし、私が思うに、皇居内にあのような摩訶不思議な郵便ポストを設置することには、非常に重要な意味がある。
皇居内に住む皇族たちは、実は宮内庁の役人を信用しておらず、大事な手紙を宮内庁の役人や事務局に預けるのではなく、直接自分でポストに投函したいというニーズがあるのではないか。
法律的に言うと、これは皇族のプライバシー保護。
すなわち、皇族が1人で移動可能な場所に郵便ポストを設置しておけば、皇族は1人の人間として信書の秘密が守られる、ということである。
そう思った私は、思わず周囲を見回した。
私のような庶民が気ままに散歩するこの道も、ある時間帯には皇族が1人でうろうろしてたりすることもあるのだろう。
ということは、もしかして、先ほどすれ違ったあの「へんなおじさん」は、皇族なのかしら!!
その後、私は道に迷ってしまい、ぐるっと歩いたり戻ったりして、汐見坂という急坂にさしかかった。
ここを登り、しばらく高台を歩くと、木々の間に音楽堂が見えてきた。
何だろう、ちびまる子みたいなおもしろい曲だなあ。
ピーヒャラ、ピーヒャラと、音楽堂の隣の古びた建物から笛の音が聞こえる。
誰かが雅楽の練習をしているようだ。
吹いている人は黒い帽子をかぶった公家のような人だろうか。
私はひな祭りのひな壇を想像した。
その後、私は見晴台(天守台)まで歩き、都内の景色を一望したが、5時近くなり閉園のアナウンスが流れたので皇居を出ることにした。
大手門を出たのが5時ごろ、そこから徒歩で東京駅方面へ、M先生と待ち合わせて丸ビルに入ったのが6時ごろであった。
今夜は丸ビルで、夕学五十講という慶應MCCの講演会があるのだ。
かつて、日本にもまだ「経済成長の希望」があった。
ホリエモンのライブドア、村上世彰氏の率いる村上ファンドが株式投資ブームの原動力となり、低迷する日本の株式市場を大いに盛り上げた。
2人がどういう罪で逮捕されたのかはもう忘れたが、リーマンショック前、2人とも東京地検特捜部に逮捕された。
あれから10年以上がたち、村上氏はシンガポールに移住したようだが、娘の村上絢氏が今日、株式投資の講演会をするというのである。
ま、まさか村上世彰氏の娘さんが、慶應のビジネススクールで、ゼッタイ儲かる株式投資セミナーでもするのかしら~??
だから私は、M先生に、今年一番おもしろそうなのはたぶん彼女だ!!と言ったのだが、果たしてどうだろう。
略歴では、村上絢氏は慶應義塾大学法学部政治学科卒業とある。
彼女が大学1年生の時、お父さんが逮捕されたことになる。
青天の霹靂だったろうし、大変な学生生活を送ったと思うが、その後、彼女はモルガンスタンレー証券に入社し、いまは村上財団の代表理事をしている。
配布資料を見ると、村上財団は株式投資の普及活動、ボランティア活動などをしているようだ。
「やっぱり、親とお金は大事ですね。」(と私)
「そうですね。でも、村上さんがボランティアをしているとは意外だなあ」
この日の彼女の株式投資の講演は、期待以上のもので、言うことなしの内容だった。
が、投資理論はともかく、私は彼女の講演を聞き、もう1つ非常によかったと思うことがあった。
私は、彼女が会場の聴衆に対して怒っているような印象を持ったのだが、、、つまり、彼女が今日ここで聴衆に最も伝えたいのは、投資理論ではない、と私は思ったのだ。
日本はいまもなお、お父さんが逮捕された当時の「ダメな日本」のままで、あの頃と何も変わっていないじゃないか、と彼女は言いたかったようなのである。
いつまでたってもダメな日本人、旧態依然とした社会経済構造、株価は割安のまま、こんな日本に未来なんてないでしょう、と彼女は力説していたように思えた。
また、私は何となく、彼女が聴衆の中の特定の何人かにそれを言っているような気もしたのだが、そういえば講演の途中、何人かの聴衆がわざと足音をたてて会場を出て行った。
もしかすると、その聴衆は彼女の主張を不愉快に感じ、途中で帰ってしまったのかもしれない。